役者の織り成すテンポのよい会話に引き込まれ110分の映画はアッという間でした。友人がもし逮捕されたなら自分には何ができるか、本当の友情とは何なのか、ということについて考えさせられた映画でした。逮捕という、どちらかというと重たいテーマではあるものの、喜怒哀楽の入り混じった会話劇を通じてそれぞれの登場人物の様々な葛藤や心の内面が浮かび上がっており、ときとしてクスっと笑ってしまうセリフがあり、最終的には、それぞれの登場人物が逮捕という事態に心の整理をつけて、これから先の未来を何とか強く生きようとするさまが描かれていたと思います。逮捕という結果について何らかの意見を押し付けてくるわけでもなく、逮捕という事態を真摯に受け止め、それでも前を見ようとする太田監督の強い決意、あるいは太田監督の心の葛藤が伝わってくるかのような映画でした。見終わった後は心が「ほっこりする」とても良い映画でした。極何気ない日常をこれだけ見ごたえのある映画に仕立てられているのは、おそらく、演技力のある役者の力量はもちろんですが、太田監督の全体的な構成やカメラワークの良さや手腕によるところが大きいのではないかと思います。今後の作品も是非見に行きたいと思いました。
