HidekiIshimoto

遠い一本の道のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

遠い一本の道(1977年製作の映画)
4.0
観たことある脇役のおばちゃんだった左幸子が音羽信子クラスの女優だと思い知ったのは、今村昌平の『にっぽん昆虫記』と元夫羽仁進の『彼女と彼』でだった。経歴みれば日本人初ベルリン映画祭女優賞受賞者、田中絹代に続く日本で2番目の女流監督とある。これがその唯一の監督作で制作までしてる。観てみりゃ今村/羽仁仕込みの半ドキュメンタリー手法で、ポスターが醸しだすしみじみ感より国鉄労働闘争のシビアさに焦点絞った社会派で吃驚。山田洋次の『故郷』でも朴訥労働者を演じた井川比佐志がまた素晴らしい。あれもこれも「キツかったけど手答えがあった」仕事への誇りを奪われる過渡期日本を切々と描いた渾身作。映画制作という仕事も同じ過渡期を通っての今ってことか。