せっ

WILLのせっのレビュー・感想・評価

WILL(2024年製作の映画)
4.5

考えて意見を交わすことが一番のヒーリング。

最初は生気を失った目で、どこか朦朧としている様子だった東出さんが、徐々に生気を取り戻していく。これ、狩猟のおかげってより、狩猟を通して感じた自分の中の相反する気持ちや汚い部分に対するモヤモヤについてひたすら考えて、カメラの前で語り、さらに色んな人と議論を交わして、心が癒えていったように見えた。

実際この映画の中で東出さんの目が1番輝いてたの、事故で脳に障害が残った音楽かとの対話。あの対話、絶妙にお互い話噛み合ってないように私には聞こえて、お互い自分のことを話してるだけなのにすごい激論を交わし合ってる錯覚に陥ってハイになってるだけだと思うんだよなあそこ。議論って麻薬なんだなと思った(笑)MOROHAの歌が気持ち良い感覚もこれなんじゃないかと思った。

本来人間は色んな複雑なものを抱えてるのに芸能人は1つのイメージを作り上げ続けることが仕事で、なのにそれを敢えて暴こうとする週間記者がいて、そういう東出さん自身も狩猟で獲物を捉えた時の興奮する嫌な快楽を持っていて、、俗世も狩猟の世界とあんま変わらんなと思った。

というかこの大混乱(?)の中、「芝居は全然心配ないっすよ」ってサラッと言う東出さんかっこよかったなぁ。実際騒動後の東出さんの演技も作品も全部良いからなぁ。

あと、狩猟の師匠みたいな服部さんがめちゃくちゃ良くて、あの人が最初に東出さんのスキャンダルを素直に否定してくれていてすごく見やすくなったし、何より話がめちゃくちゃ分かりやすい。地球にとったらがん細胞な私たちが他人のこと攻撃していい身分じゃないなと思った。
せっ

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