はる

あまろっくのはるのネタバレレビュー・内容・結末

あまろっく(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

確か「ぴったんこカンカン」だったと思うが、安藤サクラに似ていると言われたときに「サクラちゃんも嫌やと思うで、私に似てるって言われんの!」と小気味よい関西弁でしゃべっているのが本当にいいなあと思ったので、関西弁の江口のりこ堪能したさに観た。正直あまり期待していなかったのだが、想像以上にいいものが観れたので満足している。

父親との思い出の丁寧さ、太一の優子に対する思いやり方、南雲が優子を心に留めたきっかけ、優子と早希の関係性がことごとく私好みで、何度か涙ぐんでしまった。個人的に一番素晴らしい、というか嬉しいと思ったのは、南雲の最終的な判断。大抵、夢か愛かの選択を迫られるのは女の方で、男は迷いなく夢を選択し、女がそれに合わせるかどうか、という話運びになる。この手の話が出てくるたびに「なんで男側が女側に合わせないんだ」と釈然としない思いをしてきたが、それがこの映画では解決されていてすごく嬉しかった。

それと全体的にキャスティングが上手いのだが、特に松尾諭が若かりし頃の鶴瓶なのは「めっちゃ分かる…!」となった。
鶴瓶が噺家のせいなのか、ところどころでセリフ回しが絶妙で、ついつい笑ってしまうところがいくつもあった。

ただ、制作陣の価値観がかなり古そうなのが気になっている。優子が「彼氏いたことないらしいよ」と悪口を叩かれていたり、早希が優子の見合いを勝手に設定してしまっているあたり、異性との恋愛や結婚が人格の判断軸の一つであり、人生における幸せのパラメータの必須項目かのように扱われているのはかなりモヤモヤしたし、同意のない性行為に対する認識が甘そうなのも気になった。
いや~それにしても二十歳であんな、一回り近く年上の女性に対して世話焼きおばさんみたいなムーブする子おるかね…。四十代とかならいそうだけど…。

全体的にご都合主義の脚本ではあるが、人の心の揺れ動く過程が私好みだったのと、江口のりこが本当によかったのもあり、好きだなと思えた映画ではあった。
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