ひたすら強くて美しくて優しくて正しいビヨンセに圧倒させられる。
超絶エンターテインメントでありながらアートとしてもチャレンジング。音楽的、文化的な遺産への敬意も込めて。
それが金や物という以上に、ものすごい人間的な努力とクリエイティビティの上に構築されているという事実に胸打たれる。最終的には生身の人間の力こそすごいというか。
ナンバーワン、超越的存在であり続けることの覚悟もすごい。あまり映されないものの、どう考えたって見えないところで半端なく努力している。
何のために？の答えがすごくて、もはや彼女には卑近な私利私欲もなく、なにか巨大な理念を背負って生きているように見える。ドキュメンタリーのパートにおいては、あらゆる側面から彼女の正しさが映され続ける。良くも悪くも期待と違う予想外な何かは収められていない。みんなの期待するビヨンセの幻想を引き受けようとする覚悟が伝わってきて、そのことに感動したり。。
ライヴ映画でありながら、エモーショナルにいきかけたところでのぶつ切り編集とか、ライヴを線で見せようとはしない作り。個人的には、曲単位よりライヴとしてもう少し連続的に見たかった。あれやこれやの背景情報以上に、音楽やステージそのもののに圧倒的な説得力があるわけで。RENAISSANCEの幕開けのところなんかは鳥肌立ちっぱなし。ああいう、恍惚とさせられる瞬間がもっと欲しかったかな。。
意図はわかるものの、社会的マイノリティの姿ばかりを抜き続けるカメラはややあざとく、エキサイトする様子も含め、映画館にいる自分の立場からはちょっと距離を感じてしまった。。
