ひれんじゃく

コンテイジョンのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
5.0
 発生から症状、混乱していく様までかつての現実のようで(なんなら今まさにこの時)笑ってしまう。現実のおかげでやけに解像度高くフィクションを観られたという謎の体験をしてしまった。感染を防ぐためにN95マスク+目を覆うだとかクラスターの意味とか感染経路を細かく追跡するだとか。

 フェイクニュースに踊らされて薬局を襲う民衆を見ていてマスクが店から消えた日を思い出すなど。マジで怖いな…………そして「さっきまで普通に過ごしてたのに…」とパートナーの死を受け入れられない主人公とか、「失った144日は帰ってこない」と外出を自粛する女の子が吐き捨てる場面とか身に覚えがありすぎて呻いた。マジでなんの前触れもなく気づいた時にはもう感染しているし、じゃあなんとか感染を予防しようと人との接触を避けようとすると本来経験できるはずだったものを掴み損ねて時だけが進んでいってしまう。もっと楽しいはずだった大学時代のことを想起してしまった。インドア気質の私的には全てが悪くもなかったけども。まじで黙食ができないみなさん、この映画と現実を観て欲しい。これはわたしへの戒めでもあるけど、「自分は大丈夫」ではないんですよ。その根拠のない自信はどこから湧いてくるんだ。既に自分は感染していると仮定して行動した時、マスクなしで人と話せるのか???????自分の大切な人が感染して亡くなってしまったらどうするんだ?この仮定を常に意識してコロナ禍を生き抜こうと決意を新たにさせてくれた映画でもあった。いやでも本当現実と映画が並走してるってこの状況がおかしいし滅多にない体験をしてしまった。

 ちょっとシーンのネタバレをする↓




















DAY2から始まって、じゃあ1日目は?というところでラストに持ってくるのうますぎる。観客である私たちにも登場人物たちにも止められないことだから、もう「ああ〜〜〜(コウモリが落としたバナナを豚が食べてその豚を調理した手をエプロンで拭いて…)」しか言えない、その無力さ。そして劇中でも結局ワクチンが開発されて人類はウイルスに打ち勝つわけなんですが、根源を絶てたかと言われればそういうことでもなく。豚とコウモリが大本であることは分かっても、それらを皆殺しにするわけにもいかない。新たなウイルスが同じように発生する可能性がまだ普通に残っている。そういう意味合いでも1日目をラストに持ってきたことに震えた。ワクチンが開発されてよかったね!これで終わったね!ではないっていう。3年近く変異を繰り返し続けるウイルスと戦ってる現実を思い起こしてしまい…………
皆様が触れておられるように映し方もエグくて笑ってた。感染者が触った手すりを大写しにすな……………………………
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