JohnConstantine

コンテイジョンのJohnConstantineのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
4.2
Sars-Cov-2パンデミックのさなか、タイムリーだと思い鑑賞。

感染症がどのように拡大していくか、公衆衛生行政はどう動くか、ワクチンの効力は、そして感染症が拡大した時の人々の動きは、そうしたものが非常に良く描かれている。

特にジュード・ロウ演じるジャーナリストがインターネットを介してデマを流し人々を混乱に陥れるところなどは現実のパンデミックで起こっていることで、非常にリアルさを感じさせる。
コロナパンデミックにおいても反ワクチン・反マスク・コロナ茶番系の人々が様々なデマを繰り返しインターネット上で流しており、これらの陰謀論に取り込まれた人々の家族などは人生が崩壊している事実もある。

今起こっているパンデミック(2023年9月現在でもパンデミックは終わっていない)を俯瞰でとらえるにも良いし、これをコロナパンデミック以前に作ったというのはある意味では偉業だろう。
まあ、SARSの拡大があったためそこに着想を得たのだろうが、日本では水際で食い止めたためあまりその実感は湧かないのかもしれない。


私は医療従事者なので、様々に自分に都合の良い解釈をする人達、また陰謀論にのせられてしまった人達の言説には強い抵抗感がある。実際にCOVID-19に感染し苦しんだ人、治癒したものの後遺症に苦しむ人、そして亡くなった人というのを近くで見てきた身からすると、パンデミックで環境の変化に適応できる人々とそうでない人々の動きも含めて学ぶことは重要だと思う。(追記:その後家族がコロナ感染により死にかけました…)


ジェンナーの種痘については英語教材でも社会科かなにかでも習った記憶があるが、それに加えて映画「アウトブレイク」と本作「コンテイジョン」は感染症の厄介さや公衆衛生の何たるか、そして人々の動きを学ぶ教材として義務教育、中学校で体験させる価値があると考える。

真面目くさった授業で能書きを押し付けるよりも、エンターテインメントの力で記憶に残す方が良い。
そうした価値に加え、話の構成やテンポ、配役等もこの題材を扱うに申し分なく、本作は傑作と言えるだろう。
JohnConstantine

JohnConstantine