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ハンテッド 狩られる夜のshoのレビュー・感想・評価

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)
3.6
映画としてはかなり面白かったが、アメリカ大統領選の話題に触れることの多い今見ると、全く冗談に思えず頭痛くなった…。

有権者の35%、トランプ支持者のほとんどが前回2020年の選挙は不正があったと信じている。
トランプ勝利ならバイデン政権下で数十年ぶり行われた銃規制の撤廃を表明。

こうした現実がある中で、本作の物語設定はあまりに“リアル”で恐ろしく、スカッとエンタメ映画としてニコニコ見ることができなかった。

この映画の面白いのは、あの緊迫した状況の中で対話が行われることにあると思う。(過激すぎるパワハラ、モラハラコミュニケーションとも言えるが…)
あの瞬間の状況的にも、社会経済地位的にも、全く異なる立場にいる2人の会話がとても面白い。
そしてこの対話があることで、2人のバックボーンを説明してくれる点でとても分かりやすく視聴者に親切。

ただ一方で、この映画に感じる“リアル”が現実の人々にそのまま当てはまるかというと、そうではないだろうと思う。
ニュースのキーワードを羅列したような典型的、網羅的な陰謀論者のキャラクターは、分かりやすく悪役化して見せてくれるが、それは現実の人々の平均から目立つ要素を抽出してできたキャラクターであって、当然、現実の個々人にある社会背景や思想、価値観が削ぎ落とされてしまっている。
こうやって理解できないヤツらを単純化して捉えてしまうことも危険だと思う。
その先にあるのは、映画でも描かれるように「○される前に○すしかない」という結末。まさに銃社会的な発想。
アメリカ…怖すぎる…
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