りゅう

毒娘のりゅうのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
4.5
ダークヒーロー誕生。
本作はいっけん赤い少女、ちーちゃんが襲ってくるホラー映画に見える。
しかし、このちーちゃんの行動は完全にヒーローのそれである。
また、ちーちゃんと主人公のモモカとのシスターフッドの物語でもある。
本作のヴィランは「家父長制」「DV」。

2人が、シスターフッドを育むシーン。
バトルへの準備シーンには心を躍らされた。
最後のバトルはもっと恐ろしくても良かったか。義理の母親も殺すくらいの展開を期待してしまった。

◯ファンタジー
若干、現実との世界の乖離が見られる。
普通、家に人が入ってきて刃物で傷つけられたら何も考えずに警察を呼ぶだろう。
そこら辺のリアリティはない作品である。
本作をホラー、ファンタジーだと割り切って楽しめるかどうかは、結構意見が分かれるところだと思う。

絶対に警察に捕まらないちーちゃん。
もはや、妖精に近い存在なのでは。
いきなりベランダに現れたりするし。

◯ペットボトルのコーラ
ちーちゃんは豪快にコーラを飲む。
当然、ペットボトルは床に落とす。
そして、飲み口から噴出した炭酸の勢いでペットボトルが母娘に向かって突進するのである。
これには唸らされた。
素晴らしいシーンである。
「富江アンリミテッド」で富江の落としたカメラが地面で、右に左に踊りながらシャッターをきるという、なんとも凄いシーンがあった。
それを見たときと同じ感動を覚えた。

◯フード描写
何かとものを食べるシーンが多い。
主人公の家族の食事はもちろんのこと、ちーちゃんまで食べる食べる。
初登場時は汚い食べ方のちーちゃんだが、後半は可愛らしく食べる。
この食事によって、ちーちゃんを血の通った人間として描こうとしているのである。

一方、家族の父親はプリンを写真に撮ったのは良いが、その後はズズーと一気に飲み込む。興味がないのだ。
写真を撮る、栄養がある(妊活のため)、妻が用意した、位のことしか考えてないのである。

◯ちーちゃんの父
自分の娘が人を傷つけたので土下座して謝る。
しかし、その後は何事もなかったかのように、その人の家のトイレを借りる。
このあたりの違和感は何なのか。
なぜこのような不愉快なキャラにしたのだろうか。
漫画を読むと答えがあるのかもしれない。

◯来る
澤村伊智「ぼぎわんが来る」を原作にした映画「来る」。
本作でもクソ父親が登場。
育児に口だけは出すが手は出さない。
ブログでイクメンを装う。
などなど。
本作の父親のキャラクター像にも影響を与えたのではないか。

◯漫画「ちーちゃん」
こちらも良かった。
ちーちゃんが、どのような理由で同級生を失明させてしまったのかがよく分かる。
レイプされている幼馴染を助けるためである。
りゅう

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