spitfire

毒娘のspitfireのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.8
未成年集団の暴力描写に定評のある内藤瑛亮先生の新作だ!ということで公開初週に行ってきました。3回目のデデデデ前編を見てからの鑑賞には少なからずシナジーがありましたが、とても食性の悪い百合のデスメドレーになってしまったのは否めません。もっとちゃんとしたものを食べなさい。

"ちーちゃん"が一家の暗部を切り出していく本作。人間の愚かさに抑圧された未成年の怒りが吹き出す。ゴア控えめでキレ味鋭い殺傷行為に血糊の鮮やかさが際立つ。インダストリアル系の圧がある劇伴に、時折差し込むメロディがドラマを一転してエモーショナルな方向へ導く。そんな内藤先生の映像美学をしっかり堪能してきました。

トレーラーの時点、そして本編序盤でも撮影に情念のない感じで心配でした――が、作中にターニングポイントがあって途中からは映像的に気合が入ってキレッキレに感じます。萌花の心情とシンクロしてる?

ただ、今回は比較的ホラー映画のジャンルコードに沿っている印象を受けました。だもんで過去作ほどのインパクトはなかったのですが、ビジュアルもキャッチーだし内容も素直で胃もたれせず、人に勧めやすくなったと思います。入門編に最適。R15っていうほどグロくもないし、実際は思春期向きではないかしら。

映画本編と関係ないですが、劇場予告がクロックワークスの外画5連発で白眼を剥いてました(本作の配給もクロックワークス)。真面目な作品に挟まってヤバげなやつもありまして、好事家が喜んでくれるとよいのですが。
spitfire

spitfire