日本初公開ということでチェックしていたバス・ドゥボス監督の2019年作。時間があったので、こちらから先に鑑賞。これが思っていた通りのじんわりと沁みる作品だったので、来週に「Here」の方も見に行こうと思う。ライカート作品にも通じる部分があるけど、もうちょっとビターな優しさに感じた。しっかり温もりはあるんだけど、どこか孤独も感じる作品。
地下鉄を寝過ごして、終電を無くしてしまった移民の清掃員の女性が家に帰るまでを描く。プチロードムービー。
大きなことが起こるわけではないけれど、ここで出会っていく人や出来事のひとつひとうが積み重なって人生が作られていく。そんなことをしみじみ感じながら、鑑賞した。良かった。
ブリュッセルは多言語多文化が交錯するヨーロッパの縮図と言われるような街のようだが、公用語も3カ国語あり、コミュニケーションが通じないということも普通に起こりうるらしい。意図的にではないけれど、多様で複雑なブリュッセルの街で移民のシングルマザーの女性を主人公にして、多文化の様子を垣間見るような”この街にある風景“を描くことで社会的な問題もさらりと見せている。“街”自体もこの作品のテーマだなと思った。
冒頭とラストに、”時間“を感じる印象的なシーンがある。とても美しくて神秘的な映像だった。
