囚人13号

ゴースト・トロピックの囚人13号のレビュー・感想・評価

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)
3.8
まーじで冒頭30分だけなら今年観たどの映画より最高だった説ある。
序盤の駅から反射光の収めかたが卓越してるし、文明の夜はそこら中に光源が転がってるので照明機材も殆ど使われてない生々しさが素晴らしい。都会の夜景を解体すると、光の球体へ還元されるという前衛的カットは肉眼との親和性も見い出せて唸った。

街を彷徨う母は他人に関与しまくる(監督の言う人間の距離感について重要な示唆となっている)が、ヘッドライトやネオンといった「光」に対してはひたすら無関心であるがゆえ、素通りされるモールやコンクリート舗道のさりげない景観=在住者にとっての日常に潜む美しさにハッとする。

ただ娘と病院の描写はお節介さが見えて不要と思ったし、ラストカットに至っては絶対自宅で終わるのが良かったかと…。ま、アケルマンなら平気で2時間かける内容だから十分傑作だったと思う。
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