ハル

チャロの囀りのハルのレビュー・感想・評価

チャロの囀り(2022年製作の映画)
3.8
ザッピング中、たまたま目に止まり、インスピレーションでチケットを購入して舞台挨拶へ参戦。

前半と後半で異なる作品を見ているかのような2面性を有した部分が魅力である作品。
言葉の喋れない清掃員のチャロとたまたま知り合った大学生の美華。
美華は周りの内部生とは違い、上流家庭でもなければ恵まれた環境でもないため、価値観の違いに戸惑いながら何となく周囲に合わせ大学生活を送っている。
そこでおきた事件。
たまたま近くにいたチャロに助けられたことをきっかけとして純粋に生きている彼に惹かれていく流れ。

前半はオーソドックスなラブストーリー、後半はチャロの秘密に触れていく展開。
この後半がアクロバティックな設定になっていて、言葉の話せない理由やもろもろ明かされていくわけだが、ここまで様相の変化する作品も珍しい。
詳しくは触れられないけれど、とある出来事をきっかけに変わる世界。
本当に突拍子もないレベルで変遷していくため、人によっては疑問符がついてしまい、置き去りにされてしまうかも。
しかし、役者陣の奮闘はしっかりと伝わってきた。

また、全編を通して絵の切り取り方がとても美しく、ロケーションや撮影時間に拘っている点もポイント。
低予算ながらアイディアと工夫でしっかりとした邦画作品を構築しており、素直に良作だなぁと。
舞台挨拶では配給会社の方が司会を務め、限られた予算内でやりくりしている様子も伺えた。
“損益分岐点を考慮しつつ映画館で上映する”難しさがひしひしと感じられ、まだ名も知らない役者さん達の今後へ期待を抱かせる映画です。
ハル

ハル