えるふぁにんぐ

ノスタルジア 4K修復版のえるふぁにんぐのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
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映画館にとっておいた作品。

映画館の没入度を深化させてくれた。


カメラは前後左右に動き、ズームしたりもするが、しかしショットはどこまでも深い。
カメラが徹底して深みを追うことで、雨や靄や川や炎などのあらゆる自然現象が目の前に差し出される感覚に陥る。
それは犬や人物の顔にまで相互作用していく。
思い出の妻の顔、子供の顔、老人の顔、女の顔、人々の顔、主人公の顔、あらゆる顔が差し出され続け、次第にどの顔も温泉のように湧き立つ感情を差し出し始める。
カメラ(ショットないし観客)が耐えられる寸前まで差し出し続ける。
正直、ラストショットは受け止め切れないほどに恐ろしいのだが、それを置いて去って行ってしまうという。
映画史そのものであるということを思い知らされた。
大胆で極めて繊細な映画だった。



静かな水の中に出現する気泡に心奪われる。