おかちゃん

ノスタルジア 4K修復版のおかちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

私は生まれてこの方、この地を離れたことがない。出生地は同地域で、現在住む街のごく近くにある。 もちろん、今はその近辺へ足を運ぶ事ないし、何か用でもない限り行かない。なので、稀に用があり、その地を通り抜けたり、立ち寄れば郷愁は湧くし、故郷はよいものだという気持ちも解らなくもない。
だからなのか?この作品の主人公のように帰郷することへ必要に固執する気持ちが理解に苦しむ…。
ここまで試行錯誤し「帰る」事へ拘りを持つのは、私には刺さらない。確かに彼は亡命に至る迄、人生の中で一番「どん底」の生活だったかもしれない。 そのため精神が疲弊し、誰しもある一番辛い状況だったのかもしれない。しかし、その苦悩を、延々と観客に見せ続けるのは、どうなのか?
と、ここまで考えて思い当たったのはソビエト連邦への望郷か❗

画的には、
▪️故郷の牧草(?)
▪️教会の回廊
▪️Guest house 風の室内&廊下
▪️水を滴る洞窟(?) e,t,c
どれも完璧な構図に固定またはスローな移動カメラで、長回しを駆使する。色調も東欧の少し重たいトーンを、維持する(ローマの景観さえ)。

しかし、これら映像が彼の心象風景なのは分かるが、先に触れた観念から、無常、追憶、望郷、郷愁それらのものがない交ぜになって象徴化されているんだろうが、強力に結びつける鍵となるものが私には探し出せなかった。なので、驚異的長さの映画が「耐えてる時間」でしかなかった。

途中から主人公のゆっくりした動作が気になり、あげくファーザー&マザコン男にしか見えない。「いい加減タバコ🚬吸うの止めなさい❗尺が長くなる‼️」

最後の政治プロバガンダが燃え尽きるのは、(今にして言える事なのかもしれないが)結局ソビエト連邦への絶望感じゃないか。そして、エンディングの僅かに残った水溜まりと教会の朽ちた回廊壁は宗教観から逃れられない自身の敗北宣言では?
そう考えると、この作品は非常に観念的なインテリゲンチャのMASTURBATIONになっている。

いずれにせよ、映像の美しさは完璧なのだが、作品の哲学またはリアル感がプチブル的ですね。