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ノスタルジア 4K修復版のよのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
3.9
もし映画に詩というジャンルがあったなら、それはこのような映画になるのではないだろうか。
なにせ脈絡というものが無いのだ。美の追求だけが有る。
彼の行動の意味がわからない。でも美しい。場面の繋がりがわからない。でも美しい。なぜエキストラがフリーズしているのかわからない。でも美しい。終始こんな感じだ。

わからなさーーすなわち、現実的なものへの否定と、美しさだけを私たちは感じとることができる。
この二つさえあれば、言葉だろうが映像だろうが、あるいは生きかたや仕草のひとつひとつさえ、詩になるということを発見しながら。

ーー彼の映画の中では人類の不幸が映像の祝福によって中和されている。そんな計算が成り立つのかと思いながら、やはりうっとりとしてスクリーンを見続ける。(池澤夏樹)
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