たらお

ノスタルジア 4K修復版のたらおのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
3.5
詩人が旅をするお話。
物語性や訴えたいテーマ等は正直わかりません。
(多分ですが、わかろうとするものではない気がします)
ただ映像とカメラの動き、ロケーションを楽しんでいました。
退屈なシーンもありますが廃墟のシーンとカメラを横にずらしていく演出は好みです。
詩的な表現や独白、言葉を紡がない時間など癖のある演出がなされますが、作品の雰囲気に浸れるかで評価分かれそうですね。

作中に出てくるアイテムやシーンのひとつひとつは何かしらのメタファーや主人公の記憶や心境を表現しているのかなーと。
雨漏りしてるどころの騒ぎじゃない部屋とかは主人公の心は今にも決壊しそう、何か溢れ出そうな状態だったのかなーとか。
炎に関しては浄化とかつての自分を殺すって意味なのかもかなーとか。
鼻血は内側からの抵抗? それとも記憶や幻想に処理が追いついていない?
などと色々想像してみるのが楽しいです。

モノクロとカラーのシーンが交錯していく表現に関しては最終的にモノクロの世界は主人公の精神世界だと解釈しました。
最初は過去つまりは追憶なのかな? と思っていましたが、終盤の展開とラストシーンから精神世界と解釈すると少し納得できるので。
受け手側の想像次第で楽しみ方が変わる一作かもしれません。
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