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ぬくもりの内側のnobsangのレビュー・感想・評価

ぬくもりの内側(2023年製作の映画)
3.9
最後まで噛み締めないと、良さが分からなかった映画。
タイトルの意味・価値づけが、クライマックスでしっかりと為され、きちんと味わい深くなる。そんな素晴らしさがありました。

何が、「ぬくもりの内側」にあるのか、っていうね。

正直、鑑賞中は「なぜこのシーンに時間をたっぷり使うんだろう」というのがよくわからないまま進みます。

けれど、何というかなあ、最後の主人公のセリフが全てなんだよなと感じました。2時間がかりの?素晴らしい演出だと感じました。

ただですね、そのセリフの意味が、そのシーンのアングル…空に引いていくカメラアングルと合わせての隠喩的表現になっているのです。なので、掴みきれていない人にとっては、脚本・構成の違和感は残ったままのではないか、とも感じます。

そう、隠喩やメタ概念が多い作品なのです。

特にカメラアングルでメタファーを伝えてくるシーンが多いな、と感じました。
一両編成の電車が山畑を縫って走り続ける、低めのアングルで海へ歩みを進める、メッセージを叫んだ後だんだんと上に引いていく、などのアングルには、作り手の意図を強く感じました。

スギちゃんさんに「もう来なくていいよ」という一言をかける白石美帆さんの演技が素晴らしかったですね。

すごく惜しいなと思うのは「音」と「間」です。細かくぶった切れる音声が多い。また日本語歌詞の挿入歌が多すぎてごちゃごちゃしている。それも細切れにぶった切れることが多くて、音でテンポが狂います。

また特に前半では、セリフの間、フェードイン・アウトの間にも違和感があります。なぜ焦る?なぜ詰める?という 間 も、ぶった切り感を強めているかもしれません。
音と間がよければスコアはもっと高くつけてます、たぶん。
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