カタパルトスープレックス

もっと遠くへ行こう。のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)
3.3
終末の世界を描いたサイエンス・フィクション作品です。VFX要素はあまりなく、サスペンスと人間ドラマが中心……とほぼ『終わらない週末』と同じ出だし。同じ時期に同じ終末を描くふたつの配信映画。なんか、最近は終末モノが多いですよね。

なお、イアン・リードのSF小説『もっと遠くへ行こう。』が原作。

環境破壊が進んで宇宙への移住が本格的に準備される世界。そんなアメリカの片田舎で暮らすヘン(シアーシャ・ローナン)とジュニア(ポール・メスカル)のもとにテレンス(アーロン・ピエール)と名乗る男がおとづれる。ジュニアは海外移住の先鋒として選ばれたと告げられるが……という話です。

終末世界とかクローンとか要素としてはSFなのですが、描こうとしているテーマは「結婚」や「夫婦の関係」なのだと受け取りました。SFは舞台装置でしかない。では、そのテーマにどこまで迫ることができたのか?と問われれば、ちょっと物足りないと感じました。

シアーシャ・ローナンとポール・メスカルの演技は素晴らしかった。本作で引き込まれる要素があるとしたら、彼らの演技です。少しづつ変わっていく夫婦の関係性や緊張感も彼らの演技があってこそでしょう。

しかしながら、ストーリー自体が面白くない。サスペンス要素があるのですが、その謎解き自体に魅力を感じない。どうでもいいと思ってしまった。きっと小説は面白いのでしょうが。