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Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのちのmのレビュー・感想・評価

4.0
@「踊りなさい
自らを失わないために」

作品自体が既にコンテンポラリー。
言葉に出来ない魂を感じるしかない作品。

私は常々考える。
なぜ人間は言葉や文字だけに固執しているのか。
確かに言葉や文字の方が伝わり易い。
けれど、自分の内側を表現するのに少し窮屈を感じていた。
色んな言葉を使って、調べて、得ても違和感を覚える瞬間は多い。
そんな気持ちを持っていると自然にコンテンポラリーというものに興味が湧く。

コンテンポラリーに関してはど素人。
また、ピナ・バウシュさんという方を始めて知りました。
興味があっても世の中は知らないことばかりね。

今作は亡くなられたピナ・バウシュさんに捧げられたドキュメンタリー映画。
ドキュメンタリーといっても、語りは少なく舞台をそのまま流してくれたような有り難い作品。
また監督は『パリ、テキサス』や『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など観たいと思っている作品を撮られているヴィム・ヴェンダースさん。

やはりコンテンポラリーは好きだと確認出来た気がする。
ピナ・バウシュさんに捧げられているが、語られるのは抽象的なものばかり。
けれど、彼らが彼女と時間を共にしてなにかを得ていることは伝わってきた。
言葉で表せないピナ・バウシュさんへの感情がそこにはあった。

舞台はとても哲学的。
宇宙・愛・人生・性別・死・命
そんな物を感じた。
言葉は遥か昔誰かが作り、伝えてきたもの。
けど、コンテンポラリーダンスは自身の内側にある感情を0から作ります。
自分自身とひたすら向き合う。
そして体現する。
言葉は大切なコミュニケーションだけど、それだけでは足りない感情を表現できる新たなものがダンスなのかもしれない。

オープニングとラスト。
春、夏、秋、冬を身体で表現したダンスが映されている。
最初「よく分からないな、なぜそれが季節になるの?」と思ってたけど、それがラストでは「……そうか、そうだよね」となんだか理解出来てしまった。
余韻が凄く良い。
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