はるみ

映画 きかんしゃトーマス 大冒険!ルックアウトマウンテンとひみつのトンネルのはるみのレビュー・感想・評価

3.9
これはなかなか良い。前シリーズから多様性を取り入れていたけど、突然ヘンリーやエドワードが異動になり、女性キャラが増えるなど唐突感が否めなかったが、リブート版の今作はより違和感なく多様性あふれるキャラを取り入れていると思う。

・新キャラ ブルーノは明らかな自閉症。目を合わせない、こだわりが強いなど自閉症の特性をリアルに描きながらも、周囲はそれを当たり前に受け入れ、ブルーノがパニックを起こしそうな時は落ち着ける水辺に連れて行くなど適切な対処をする。

しかも『ブルーノが自閉症だから優しくする』のではなく『友達だから優しくする』というのが見ていてよくわかる。

障害児の世話をさせられる定型児についてSNSで度々話題になるが、トーマス達にとっては友達がピンチのときに力になっているだけであって、障害児も定型児も関係ないのだ。

・勇敢な女子、怖がりな男子。
冒険に出る際、勇敢に挑むのはこのシリーズではいつだって女子だ。しかも1番小柄で年齢も幼そうなサンディが1番の怖いもの知らず。他の作品であれば末っ子甘えん坊キャラにされてしまいそうな容姿なのに、彼女にはそんな要素1ミリもない。
同じく勇敢なカーリー、聡明で頼もしいニアなど、今シリーズに出てくる女子はみんな強い。

一方、パーシー、ディーゼルといった男子チームは怖がりに描くなど男女の描き方に従来のジェンダーとの違いを意識していることは明白だと思う。

とはいえ男子チームにも頭脳派で冷静なブルーノ、物知りなジェフ(彼も自閉症をモチーフにしている)など優秀なキャラも多数出てくる。


ザッと書くだけでもこれだけの多様性がある。本当はまだ書いたいくらいだが、これくらいにしておく。


前シリーズまではトーマスが脱線したり、崖から落ちそうになったり幼児が怖がりそうな描写も多くあったが、リブート版の今作ではそういったものはなく、未就学児でも安心して見られるマイルドなものに仕上がっていて大変良い。
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