とりん

スリラー40のとりんのレビュー・感想・評価

スリラー40(2023年製作の映画)
4.1
2023年95本目

世界で最も売れたアルバムとしても名高い、亡きマイケル・ジャクソンの傑作アルバム「Thriller」の40周年を記念したドキュメンタリー。
いろんなドキュメンタリーや記事を読んでいたら知ってはいるけど、改めていかにマイケルが凄かったかを思い知らされる。
「Thriller」だけに焦点があてられているのもあってか、これまで観てきたドキュメンタリー作品より、より細かにいろんなことを教えてくれた。
「Thriller」収録曲ひとつひとつのエピソードだったり、当時レコーディングに関わった人たちから語られるエピソードは非常に貴重なものだ。

「Thriller」の前作にあたる「Off The Wall」の過小評価の先にある作品が本作であり、黒人差別のあおりをここまで受けたのも改めてわかるし、それすらもはねのけようとする傑作を世に送り出そうとする決意や向上心、安っぽく聞こえるがあらゆるものがすごい。
あれだけ緻密に作り上げ、他がこれで充分と思えてもその先をさらに行くほどに組み上げていき、自信を持って世に放つ。才能ももちろんだが、その裏にある努力や音楽にかける思いがとてつもない。

言わずと知れた本作収録の表題曲にして代表曲「Thriller」のMV、音楽のおまけ、PVとして扱われるようなレベルだった時代に、膨大な費用がかかっても映画と同じくらいのストーリー性やエンタメをもたせたこともまた彼がもたらせた革命のひとつだと思う。
緻密に作り上げたパフォーマンスの素晴らしさはもちろんのこと、白人主義のMTVに対し、流さないといけないと思わせられるほどの意味ある作品を作るという強い想いが感じられた。
「Thriller」だけでなく、確かにマイケルのMVには他の海外アーティストとは一線を画したストーリー性やエンタメ性、観ているものを凝視させるほどに惹きつける力がある。それは40年経った今でも語られるほど色褪せることなく引き継がれているものなのだろう。
自分も数回しか観たことないMVがほとんどだが、こうも記憶に焼き付いているのはそれほどの衝撃があったのだろう。

いろんな音楽はマイケルにつながっていたり、原点とされているのには納得してしまうな。それほどまでに彼が作り上げた音楽というものはすごいと思う。
面白いなと思ったのはK-POPの視点から語ったインタビュー。
今では世界的に広まったK-POPだけど、それはマイケルから研究されてきたものであったり、グラミー賞ノミネートや全米ビルボード1位を成し遂げたBTSのダンスとの比較だったり、今だからこそ見える角度からの話は興味深かった。
とりん

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