MasaichiYaguchi

マリア 怒りの娘のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

マリア 怒りの娘(2022年製作の映画)
3.6
ニカラグア出身のローラ・バウマイスター監督の初の長編映画は、中米ニアカラグアの首都マナグアに実在する巨大なゴミ捨て場ラ・チュレカを舞台に、或る日突然母の不在に直面した少女の姿を、内なる世界を幻想的に交えながら描き出していく。
本作のヒロイン・11歳の少女マリアは、美しい湖の畔にあるゴミ集積場の近くで、母と一緒に貧しいながらも幸せに暮らしている。
母は飼い犬を売って生活費の足しにしようとするが、不慮の出来事により失敗してしまう。
母はトラブルを解決する為にマリアをリサイクル施設に預けて街へと向かったものの、何日経っても戻ってこない。
戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを募らせたマリアは、母に会いたい一心で施設を抜け出してしまう。
ニカラグアは独裁政権や内戦が続いた影響で映画産業が発達せず、これまで製作された映画は僅か数本しかなく、久々につくられたこの長編映画は世界各地の映画祭で高く評価されている。
客観的に考えるとバッドエンドな本作だが、そんな状況に負けず、前を向く少女の姿に希望を感じてしまう。