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マリア 怒りの娘のtamashiiのレビュー・感想・評価

マリア 怒りの娘(2022年製作の映画)
4.3
そういえば観た。思ったよりドラマのしっかりした映画だった。あと劇伴のセンスがいい。

パンフレットを読むと本作がいわゆる「貧困ポルノ」だと見られることを懸念してるようだったが、そうは見えなかった。確かにニカラグアの酷い環境が映されるが、無知な少女が愚かなせいで周りが不幸に陥るというストーリーなので(もちろん、その無知だって貧困がもたらしてるのでやっぱり環境の問題とも言えるが)、主軸は少女の人間的な成長にあるように受け取れる。親に守られて無知だった少女が少しずつ社会を知り、「怒り」の性質が少しずつ変化することを通じて成長が描かれることになる。

それにしても、親の言うことを聞かないクソガキをこんなにリアルに演じられるなんて、主演のアラさんは大変素晴らしい役者である。この太々しさと危うさがなければ、貧困ポルノっぽく見えてしまったかもしれない。劇中のマリアと似た境遇とのことなのだが、役者としての明るい将来を期待したい。
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