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そらいろのたねのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

そらいろのたね(1992年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

少年の植えた「そらいろのたね」が大きなお家になってしまうというファンタジー・サイレントショートアニメ。

監督は『となりのトトロ』『魔女の宅急便』の、巨匠・宮崎駿。

日本テレビ開局40周年記念として放送。
1話30秒程度のお話が3つくっついた、とっても短くてとっても可愛らしいアニメである。

原作は中川李枝子(文)・大村百合子(絵)姉妹が1964年に発表した同名絵本。初版発行から60年近く経っているにも拘らず、未だに子供達に読まれ続けている怪物級の1冊である。

中川李枝子は宮崎駿が尊敬してやまない人物であり、「本へのとびら ー岩波少年文庫を語る」(2011)という自著の中では彼女のことを「別格」「歯が立たない」と絶賛している。
「あーるこー♪あーるこー♪わたしはーげんき〜♪♪」でお馴染み、『となりのトトロ』のオープニング曲である「さんぽ」の作詞者でもある中川李枝子先生。宮崎駿が彼女の熱烈な信者だったからこそこの不朽の名曲が生まれたのだと思うと実に感慨深い。

原作クラッシャーで知られる宮崎駿だが、本作では大村百合子先生のタッチを完コピ。原作ファンも納得のアニメーションとなっている。あっ、ぐりとぐらもお家にやってきているよ!🐭🐭

絵柄からは宮崎駿らしさを感じることは出来ない。が、駿お得意の群衆描写は本作でも炸裂。そらいろのお家に集まった友達たちのわちゃわちゃ加減がもうすごい!時間にして10秒くらいなんだろうけど、お家に集まった人や動物たち一体一体をぐにゃぐにゃと動かしており、ここだけで作画枚数どんくらい使ったんだろう、とか考えるとめまいがしてくる。
1分少々のショートアニメにも気を抜かないその姿勢はプロそのものである。

とにかく短い作品であり、児童向けの絵本が原作なのでお話も至極単純。しかし、やはりというべきか作画のクオリティは非常に高く、ファンタジックでどこか奇妙な劇伴と相まってやたらと印象に残る作品となっている。ジブリファンなら鑑賞しておいて損は無いはず!

…余談だが、「宮崎駿 中川李枝子」でググるとニッコニコの笑顔で中川先生と肩を組む宮崎駿の姿を見る事が出来る。宮崎駿は中川先生のことを「お姉様」と呼び慕っていると、なんかのインタビューで読んだか聞いたかした記憶があるんだけど、確かにこれは弟の…いや妹が大好きな姉に向けて浮かべる笑顔そのものだわっ🤣💕

※『ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート 1992-2016』(2019)に収録。
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