てっぺい

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【100万映画】
絡んだ糸を一瞬で解くような爽快な謎解き、青山剛昌ユニバースのキャラが総活躍するワクワク感。それもこれも、原作連載30年で初めて明かされる100万馬力のサプライズメガトンパンチが全てをもっていく。

◆トリビア
○工藤新一と怪盗キッドの顔が瓜二つなのは、「裏設定がある」と原作者が明言している。ただしその理由はまだ明かされていない。(https://dc-compass.com/conan-movie-preparation/)
○怪盗キッドの父・黒羽盗一は、事故に巻き込まれ行方不明という設定。原作者はその死亡説については否定している。(https://dc-compass.com/conan-movie-preparation/)
〇本作のティザーイラストには、3本線が刻まれた手袋を握るキッドの姿が描かれており、この手袋は初代キッドのもの。(https://www.youtube.com/shorts/6nx-h1fYU7g)
○ 平次の寝屋川市在住や剣道という設定は、初登場当時に原作の編集者だった浅井認が同市出身で剣道少年だったことにちなんでおり、浅井は平次や和葉が話す大阪弁の監修も務めていたという。名前の由来は、テレビドラマ『探偵物語』の服部刑事からで、名前の「平次」は「刑事」を時代劇『銭形平次捕物控』の銭形平次にひっかけた。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/服部平次)
〇五稜星の当て字”みちしるべ”は、特殊読みがあてられた過去17作のうちで唯一ひらがな。(https://www.youtube.com/shorts/hwTKW1mccmk)
○原作者はコナンを「ラブコメミステリー」だと明言しており、本作の監督はラブコメに、脚本家はミステリーに強い人物。(https://dc-compass.com/conan-nagaoka-okura/)
〇2018年から毎年劇場版シリーズを特集している「anan」の4月17日発売2394号には、表紙に工藤新一と黒羽快斗が、裏表紙に平次と和葉が登場し、“表裏”の表紙をジャック。誌面では本作を12ページにわたって特集し、声優や監督のインタビューも収録された。(https://mantan-web.jp/article/20240411dog00m200057000c.html)
○ 本作には、原作でもまだ明かされていない“とある秘密”が描かれているため、ネタバレを避けるために試写会が一切開催されなかった。(https://mantan-web.jp/article/20240201dog00m200012000c.html)
○前作「名探偵コナン 黒鉄の魚影」でシリーズ初の興収100億円を突破。本作にも期待がかかっている。(https://mantan-web.jp/article/20240410dog00m200060000c.html)
○公開日の4月12日は、キッドのシークレットナンバー1412と一致。全国各地にキッドからの予告状が届く「キッドプロジェクト」が展開された。(https://www.conan-movie.jp/2024/1412project/)

◆関連作品(全てHuluで配信中)
○「名探偵コナン vs. 怪盗キッド」('24)
2024年1月公開のテレビシリーズ特別編集映画。時計台消失編がメインで、まだ2人がお互いを認識していない頃の攻防。
○「まじっく快斗1412」
怪盗キッドのスピンオフアニメ。第1、2話で怪盗キッドの誕生とその目的が描かれる。
○「工藤新一少年の冒険」
少年期のキッド、またその父親の黒羽盗一が登場。盗一はコナンの父と関係がある事が描かれる。原作第55巻、アニメ472、473話(シーズン12)。
○「キッドVS高明 狙われた唇」
キッドと平次が初共演。和葉に化けたキッドを本人と勘違いし、平次がキスをしかけたことで、平次がキッドに積年の恨みを抱くことに。原作第96巻、アニメ983、984話(シーズン25)。
○「外交官殺人事件」
平次が初登場。原作第10巻、アニメ第48、49話(シーズン2)。
○「ホームズフリーク殺人事件」
平次がコナンの正体に気づく。原作第12巻、アニメ57、58話(シーズン2)。
〇「名探偵コナン から紅の恋歌」('17)
本作でも描かれる和葉の耳の良さは、この作品での百人一首の特訓が起因している。平次はもちろん紅葉や伊織も登場。
〇「毒と幻のデザイン」
この作品で工藤新一がロンドンで毛利蘭に告白したことを平次が知り、対抗心を燃やしたことが本作に繋がっている。原作第74巻、アニメ652、655話(シーズン17)。
○「恋と推理の剣道大会」
紅葉・伊織・総士が登場。原作第93巻、アニメ916、914話(シーズン23)。

◆概要
劇場版27作目。
【原作】
青山剛昌「名探偵コナン」(連載30周年、コミックス104巻、全世界累計発行部数2.7億部超、テレビアニメ放送1000回超、劇場版累計興収1180億円超)
【脚本】
「名探偵コナン 紺青の拳」大倉崇裕
【監督】
「名探偵コナン 緋色の弾丸」永岡智佳
【声の出演】
高山みなみ、山口勝平、山崎和佳奈、小山力也、堀川りょう、宮村優子、ゆきのさつき、小野大輔、遊佐浩二、緒方賢一、林原めぐみ、岩居由希子、高木渉、大谷育江、松井菜桜子、石井康嗣、大泉洋
【主題歌】aiko「相思相愛」
【公開】2024年4月12日
【上映時間】111分

◆ストーリー
北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届く。キッドの狙いは新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だったが、折しも函館で開催される剣道大会のため、服部平次やコナンも同地を訪れていた。平次はキッドの変装を見破り、追い詰めていく。時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見され、捜査線上には「死の商人」と呼ばれる日系アメリカ人の男の存在が浮上する。


◆以下ネタバレ


◆みちしるべ
土方歳三と官軍との殺陣から始まる冒頭。歳三が刺した刀穴を覗くコナンから現代に移る描写に、この刀穴が本作のキーである事が記される。その事の通り、この刀穴とその周りに描かれた五稜星のサイズバランスが、コナンたちを五稜郭から函館山へと導く大きなヒントに。毎度の事ながら、東照宮に辿り着くまで、そして良衛が犯人だと暴くくだりもテンポがいい。コナンがバルーンで函館山を照らし推理を披露したあのシーンが秀逸。まさに五稜星がみちしるべとなり、タイトルのダブルミーニングが浮き彫りになる本作の一つの大きな山場だった。

◆青山ユニバース
本作のもう一つの大きなポイントは、原作者の他の作品からもキャラが多数登場し活躍した事。「YAIBA」から沖田総司に鬼丸猛、「まじっく快斗」から怪盗キッド、青子に中森警部(心配するキッドの姿がいい!)、さらにはついに黒羽盗一まで!青山剛昌ユニバースからアッセンブルしつつ、本筋のキャラたちの活躍も。OPで黒づくめの組織のチラ見せあり、少年探偵団と博士にも役目があって、園子と哀、紅葉に和葉も推理の大きな一助に。蘭は平次と和葉のお膳立てに徹しつつ(聖を再度気絶させた一瞬があったが笑)、伊織はある意味最高の立役者笑。そしてキッドは文字通り七変化(平次との因縁はホントにあれでチャラになるのか笑)、平次はバイクに殺陣に、トムクルーズばりのプロペラ機ハンギングと思いきや、まさかの機上で殺陣と、トム様大幅越え笑。コナンのキック力増強シューズが何度も拝めたのもよかった。全員総活躍社会のお腹満腹な内容だった。

◆ラスト
平次が和葉についに告白したラスト。涙する和葉にaikoの「相思相愛」が乗るというこれ以上なく美しいエンドロールへ。と思いきややはりの展開に笑。閃光弾を故意でなく誤って落とす伊織の姿には、彼と紅葉を真の悪者にしたくない製作陣の優しさが見え隠れ。100万ドルの夜景での告白に失敗した平次には、それ以上となるとハードルが尋常じゃなく上がったわけで、まだ2人の与太話は長く続きそうだ。そして工藤優作。原作連載30年でついに明かされた黒羽盗一と双子だった、つまり新一とキッドがいとこという事実は「言わなかったっけ」では到底済まされない笑。100万ドルではなく100万馬力のメガトンパンチに日本中のファンがノックダウン必至。次回の長野県警以降、一体どんな展開が予定されているのか、ますますのこシリーズに注目が高まる。

◆評価(2024年4月12日現在)
Filmarks:★×4.2
Yahoo!検索:★×4.0
映画.com:★×3.9

引用元
https://eiga.com/movie/100801/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/名探偵コナン_100万ドルの五稜星
てっぺい

てっぺい