ソラ

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のソラのレビュー・感想・評価

3.3
最初に断っておくと20年来のコナンオタクの評価です。
正直ここ最近で断トツにつまらなかった。
低迷中のMCUと同じ雰囲気がある。
※下の方に本作のネタバレありの考察や劇場版に登場するキャラの解説してます。

脚本の大倉さんと監督の永岡さんのコンビはどうもハマらない。
『紺青の拳』や『緋色の弾丸』が面白くなかった人は多分同じ思いになる。

ほとんど「まじっく快斗」の世界にコナンやら平次やら「YAIBA」のキャラが集合した劇場版。なので「まじっく快斗」を読んだことがない人やキッドがなぜ泥棒として活動しているのかを知らない人には退屈に感じるはず

舞台は終始函館なので、目暮警部や佐藤刑事、高木刑事等の東京の刑事組は出番なし。少年探偵団や阿笠博士もほとんど見せ場なし。近年のコナンは初期の頃に比べてキャラに特化させることで興行アップを狙っておりその皺寄せがレギュラーキャラにきている。

6本の刀から読み解く宝物の在処というミステリーや全体的に和風なテイストは、名作「迷宮の十字路」を彷彿とさせるが完全に下位互換になりさがっている。

登場するキャラが多く、ミステリーも複雑な割に深みがなく回収されずに終わる人物がいたり、引きのあるキャラを活躍させるためだけの不可思議な行動があり、そもそもの脚本に欠陥がある。親子という裏テーマがあるのも理解できるが、無理やり繋げた感がある。

ここまで、酷評してきたが良かった部分もある。函館の風景は、エンドロールを見ても分かる通りかなり忠実に脚色なく描かれており旅行に行った気分になれる。
何より、気持ちを伝えることに臆していた平次が意を決して和葉に告白するシーンは胸熱だった。

トムクルーズみたいな平次とかロープウェーの線をスケボーで爆走するコナンやスタングレネードを大量に所持する伊織には思わず笑ってしまった。アクションシーンと主題歌の流れるタイミングは過去一で良かった。

本作のMVPは、蘭。ビックベンより上だと宣言して後押しをして平次と和葉の2人だけにする粋な行動に拍手を送りたい。

声優について少しだけ。津田健二郎は勿論、ゲスト声優の大泉洋も良いキャラを貰って大当たりなのでは。
キッドが最初に変装していた配送業者の声がどこか勝平さんに似てると思ったらまさかの息子さん!さらに娘さんも出演なさってるらしくここは確認できず。
堀川さんも平次を頑張ってるんだけど年々老いを少し感じてしまった。

そんなこんなで昔のコナンがメインでミステリー重視の作品が好きだった身として、今作は青山剛昌バースの作品がごちゃ混ぜにされたものと評価せざるを得ないのです。


以下、ネタバレあり。

・序盤に出てきた工藤新一に似ている関西弁の剣道馬鹿は沖田総司。「YAIBA」のキャラ。たまにコナンにも出張してくる。
・撃たれた中森警部の娘で毛利蘭にソックリな人は中森青子。こっちの方が登場は早い。「まじっく快斗」のキャラ。コナンにも何度か出ている。
・終盤に出てきたスキンヘッドの剣道強い人も「YAIBA」のキャラで鬼丸猛。名前の通りはちゃめちゃに強い。ちなみに声優は津田健二郎だったが最初は平次の声でお馴染み堀川りょう。
・エンドクレジットの後に出てきた怪盗キッドの黒い版は、怪盗コルボー。正体は、怪盗キッド(黒羽快斗)の父親である黒羽盗一。ある組織に殺されたことになっているが、実は生存していることは「まじっく快斗」5巻にて判明していた。

以下、考察。

・工藤優作と黒羽盗一が双子であることは、今回が初出であるがある程度の予想はついていたし、その伏線はこれまでにもはってあった。
・敢えてこのタイミングで明かすということは、黒の組織との対決の局面で必ず盗一やキッドが絡んでくることになる。最初から考えていたのか、後付けなのかは不明である(そもそも書き分けが難しいだけで後付けなのではないかと思っている)。
・増えすぎたコナン陣営を考えると黒の組織との最終対決は呆気なく終わりそうなので警察側に裏切り者がいてほしいところ。
・来年は、長野県警トリオ。ただ、そこまで有名ではないので、引きのある安室を出しながらスコッチにも触れてきそう(スコッチ生存とかやり出したら呆れる)。る
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