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リトル・エッラのKのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・エッラ(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

「友とは人生の庭に咲く花」

サクッと観れちゃうハートフルコメディ映画


エッラの笑顔が本当に素敵!!
子供ならではの無邪気さに癒される。

トミーおじさん側から見たら
そりゃあ可愛くて仕方ない姪だろうな~

エッラ役 アグネス・コリアンデルの演技が凄い。デビュー作にして初主演長編映画でこんなにも自然な演技ができるだなんて…将来有望、今後の活躍に期待ですね。


親友のトミーおじさんとの楽しい日常に
突如として現れた邪魔者スティーブ

トミーおじさんも、恋人スティーブの前では一気に乙女のように。可愛い。

エッラは邪魔者を追い出そうと、オットーと共に作戦を練りいたずらを仕掛けるのだが…これが毎回空回り笑 逆に愛のキューピッドに。
そのイタズラも、クスッと笑っちゃうようなものばかりで観ていて楽しい。


子供のジェラシーとは、また違った疎外感も感じられた。誰かしらは経験したことがあるんじゃないだろうか。

この作品で言うと、

トミーとスティーブが英語で楽しそうに会話する。だとか、

トミーはスティーブを優先するようになる。
だとか、

元々トミーと2人での遊園地だったのにスティーブが来たことでアトラクションでは1人になってしまう場面も…。だとか。


この場合を現実に置き換えてみると、

共通の友人同士でいるのに、他の友人たちは自分の知らない身内話で楽しんでいて輪に入れない。自分だけ除け者感。
とか、

この映画の関係通り、親友が恋人の方を優先するようになった。
とか、

元々友人と2人で遊んでいたのに、友人の友人(自分からしたら知らない人) が偶然で一緒に遊ぶことになってしまい、その上2人は盛り上がって自分は1人で後ろを歩く…話題についていけず話をただただ聞いているばかり…。
とか、

自分も、うわ~この疎外感、場の雰囲気。感じたことあるかも~と。

迷惑とかまだ理解出来ていないエッラぐらいの子供だと、確かにイタズラとか追い出す!とかそういうことしたくなっちゃうかもね。
エッラぐらいの歳の子は、相手のことを考えられず自分が良ければ良い!自分のやりたいことをする!って感じだよね。


映画自体としては、本当に内容はシンプルだけど寧ろそこが良い。

北欧インテリアや街並みも楽しめて、北欧好きにはたまらない。

そして音楽の流れるタイミングや曲も素晴らしい。


そして、あまりにも綺麗にナチュラルに多様性が社会に溶け込んでいる様子がとても良かった。マイノリティをマイノリティだと感じさせない、当たり前にそこに存在している。

だから、様々なセクシュアルマイノリティを前にして子供であるエッラは なんで?と疑問を抱いて問いただしたりはしないし、理解するとかしないとかの問題でもない。

本当に、どんなセクマイの人でも、
受け入れられている という領域を超えて
皆違って当たり前。という世界

まさに、この映画の日常風景こそがあるべき社会の姿だと思う。

今の日本や他国では、多様性が知られるようになってきたのは良いことだがその反面、多様性を尊重!とマイノリティを理解していますよ感とか、多様性を尊重する(しすぎる?)配慮という形で逆に窮屈な思いをしている人がいる。
とかまだ多様性な社会にはなりきれていない気がする。



まだまだ好きなポイントは沢山ある、


オットーが墓地のことを「死んだ人を想う場所」と表現するところ とか

急に始まるカーチェイス とか

あまりにも巧妙なユーモア溢れる伏線回収とか、
ミミズ作戦をしようとした時にエッラの想像の中で ミミズでも喜んで食べそうなスティーブが居たが、まさにその通りで 自分の鞄に入っていた野菜をなんの疑問もなくそのまま食べ始めたりとか、

序盤からのエッラのサッカー練習。
最後に意味があったんだ!と


伏線回収が自然すぎて思わず感心させられた。


本当に、良い映画に出会えた。



余談。

ハートフル映画は個人的には家でゆっくり観たい派ですが、この映画は本当に映画館で観ることが出来て良かったと心から思う。

ミニシアターで過ごしたあの時間は
とてもかけがえのない時間だった。

隣にいらしたご婦人が感受性豊かな方で、ユーモラスなシーンではクスクスと笑っていたり、音楽にノリノリになって体を揺らしていたり。体で映画を存分に楽しんでいる感じが伝わってきてこちらまで気分が良かった。

また、ほかの観客の方の反応(皆さん笑ってらっしゃる方が多くあちこちからクスリと笑い声が。)もあり、映画に一体感があったというか、そういった反応も含めての映画鑑賞になった。

映画を観た後、
「良い映画でしたね」と近くの鑑賞者に話しかけたくなってしまうほど気分の良い映画でした。
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