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テルマ&ルイーズ 4Kのきのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
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逃亡犯として逃げているのはもちろん、彼女たちは戻ることで「女性の役割」に押し込まれる現実や、「女性」であるがゆえに虐げられる現実から逃亡する。亭主関白な夫のもとで抑圧され、どこか子どもっぽさを伴っていたテルマが、道中で失敗を繰り返しながら強さを手に入れていく姿がカッコよく、追い込まれていくほど一心同体になっていくテルマとルイーズの絆が熱い😭あとブラッドピットがなまめかしいが、テルマの身体をむやみにさらされないあのホテルのシーン、逆に女性がまなざす側に立つというカメラワーク。かつて、アメリカン・ニューシネマが確立した自由を追い求めるロードムービーは、社会の呪縛から逃れ、理想郷を目指すという男性を主役においた物語形式だったけれど、そんな男性の領域に女性主人公が闖入する展開。しかもNOがNOと受け取られないようなレイプファンタジーがはびこる男権的な社会へ、強烈に、かつある種の軽やかさを伴いながら絶対的なNOを突きつけ、女性は男性が運転する車の助手席に乗るだけでなく、自らハンドルを握り、まなざす主体であること、運命を決めることを徹底的に描いてくれてありがとう。🥲ラスト、永遠なる伝説のアウトローとして記憶されるための哀悼にも見えるけど、あたしは生きていたいし生きていてほしいと思う。この時代に、あのラストにならざるをえなかったこと、女と女でたのしく生きていく未来が提示されなかったことを考える。
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