おこのみやき

テルマ&ルイーズ 4Kのおこのみやきのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
4.7
シネスコサイズかつ明瞭なサウンドを体験できる映画館で観るべき作品。

ロードムービーの面白いところは物理的な移動、時間の経過によって登場人物たちの心境や行動に変化が現れるところだが、本作はまさにそのロードムービーの醍醐味を凝縮したような作品だ。

テルマとルイーズの行動は決して一貫したものではないが、そこが面白いのである。脚本から「ステレオタイプの女性、ステレオタイプの男性から脱却しよう」という最近よくあるような少々無理のある姿勢が感じられず、登場人物たちが自然にそこに存在しているだけでスッと受け入れることができる。

そして彼女たちは、フェミニストたちの代弁者として存在しているのでなく、ただ自分として、自由に生きるという意志を持っていると私は思う。だからこそ、あの自己中心的な、しかし爽快なラストがある。あらかじめ定められた「運命」ではなく、彼女たちが選び取った「運命」を生きる。随所随所で挟まる老夫婦や老人に見つめられるシーンでテルマが見せる表情は、そのような彼女たちの決意を感じさせる。