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MONTEREY POP モンタレー・ポップのKKMXのレビュー・感想・評価

4.1
 偉大なるソウルシンガー、オーティス・レディング目当てで鑑賞。フェスのオムニバス的なライブ映像なので、オーティス師匠も1曲半しか聴けなかったのですが、充分満足でした!また、オーティス師匠以外も結構有名ミュージシャンが多数参戦しているため、つまみ食い的ではありますが、観応えはそれなりにあります。

 オーティス師匠はこのライブの半年後に飛行機事故で急逝してしまうため、貴重な映像となります。いや〜、やはりスゲェ!ほんとスゲェ!なんというか、歌の包容力がハンパないんですよ。ソウルシンガー特有の、なんとも言えない深みが素晴らしくて、めちゃくちゃ良かった。
 曲は『シェイク』半分、『愛しすぎて』フルコーラス。『愛しすぎて』はバラッドなんですが、ズッダン!ズッダン!というキメで盛り上げるんですよ。熱い!なのでしんみりと聴くのではなく、躍動感も伴って体験できるので、ホントにサイコーでしたね!サイコー!言葉を尽くす必要がない、直接心に届く歌声で、今も思い出すだけでちょっとウルッと来ますよ!
 一方で、シェイクは短くてあまり良さはわからなかった。頭からだと盛り上がりを感じられるので、惜しかったです。YouTubeで完全版観たけど、どえらいカッコ良さ!なぜ前半切った…『トライ・ア・リトル・テンダネス』もやっており、劇場で観たいね!DVDだと3枚組コンプリートバージョンがあり、2枚目はジミヘンとオーティスのステージを完パケとのこと!YouTubeでは発見してチェキしたけど、2枚目も上映して…😿

 中盤にて早くもジャニス・ジョプリンとザ・フーが登場。ジャニスはさほど好みではないミュージシャンなのですが、ライブ観ると印象変わりますね!ソウルフルというよりも、JBっぽいですね、金切り声の上げ方とか。イイィ〜〜〜ッッ!みたいなスクリームがヤバくて最高でした。曲がブルースベースの古いロックなのがなぁ(当時はそれが最新なんだけど)。あと顔がオジー・オズボーンに似ている。ロバート・プラントも影響受けてそうなので、ジャニスは元祖メタルだな。
 フーは、キース・ムーンを中心に撮られておりました!わかってますねぇ〜!真ん中にいる木偶の坊はあんまり映らず、ムーニーのイカれたドラミングとその楽しそうなアホ表情をたっぷりと体験できました。改めて観ても、やはりムーニーは特異すぎる。ピートはアレだな、ギタークラッシュしないとムーニーに食われてしまうな。それで始めたのかな。静かなる男・ジョンはほとんど映ってないけど、そのベースのブリブリ具合はズンズン伝わるので、逆にクールなのが最高だった。ホント、エントウィッスルは好きにならざるを得ないでしょ。しかしジョンは死に方が腹上死!死に様はロックンロール。
 
 オーティス師匠の後に、事実上の大トリ・ジミヘン登場。この人、人っぽくないですね。物の怪の類です。ヌルっと出てきて、パフォーマンスはなんか気持ち悪くて凄い。異界の裂け目から現世に間違って落ちてきた怪人というイメージ。ギターテクとかも、凄まじすぎて理解できるレベルじゃないし。ギターを燃やすのもあの世の儀式にしか見えない。ジミヘン観てると真の天才は人類を超越するな、と実感しました。ただし、今回の『ワイルド・シング』は曲としてイマイチ。きっとこの曲で儀式がオッパじまったから収録するしかなかったんでしょうね。
 まぁ個人的にジミヘンの曲は亡くなってからの新作『ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン』のみが好き、みたいな感じだから、67年のジミヘンはあんまり好きじゃないんだよね。フリーダムとかまだ出来てないから演んないし。


 その他気になるミュージシャン。序盤のジャズバンド、ヒュー・マケセラさんが良かった!ちょっと呪術的なグルーヴがグッと来ました。ラヴィ・シャンカールはラストに長々と演奏してましたが、儀式の音楽っぽく、お経に近いと思いました。映像だと飽きますが、生で観たらやはり凄みが伝わるんだろうなぁ。観客スタンディングオベーションでしたし。
 ジェファーソン・エアプレインはオルタモントでヘルズ・エンジェルズにブン殴られたバンドとして認識していますが、女ボーカルのグレイス・スリックはなかなか正統派で良かった。ルックスも綺麗だし。男ボーカルはあまり印象に残らず。2曲中、1曲目はなんか歌詞が良かった。死のブルースみたいな歌詞で。

 本作の中心グループと思われるママス・アンド・パパス。『恋する惑星』で有名な夢のカリフォルニアくらいしか知らなかったけど、4人グループだったか。ずっとママキャスとギターのジジイのデュオだと思っていました。というか、キャスの隣のパツキン女子が美女!調べたらミシェル・フィリップスという方で、なんとジジイの妻!ジジイ羨ましいな…と思ったらグループ内で不倫してました(ミシェルともう1人のメンバーがバンド活動初期から不倫!すげぇシチュエーション!)。ジジイ哀れだな…ちなみに曲は好みじゃない。夢のカリフォルニアは『恋する惑星』のおかげで覚えたけど。劇中で嫌ってほど掛かるからね。そのくせ、『恋する惑星』のサントラに夢のカリフォルニア入ってないでやんの!これはカーウァイの嫌がらせだろうか?


 しかし、本編で最も記憶に残ったのはアイツですよアイツ!アニマルズがなんとストーンズの『黒くぬれ!』をカバーしており、おっ、いいじゃない、本家ストーンズはこの頃ドラッグ関係で確かイングランド警察とあーだこーだしている時期だから出国も出来なさそうだしな…とか思っていたら、チラッと映りやがったんですよ、ブライアン・ジョーンズが!アンタ、先月サツにパクられただろ!アメリカ来れるの?容疑的なヤツだから結構自由なのか?しかし何しに来たんだよ!客として来てるようにしか思えなかったが。
 調べたら、どうやらジミヘンの演奏前にMCしてたみたいです。なるほど、ただの客じゃなかったか。アニタをキース師匠に寝取られて、正真正銘のひとりぼっちの孤独人間になったから、ナオンをひっかけに来たのかと思ったよ。
 しかし…ブライアン、出演1秒くらいだよ!ジミヘン前の口上も収録してやれよ!67年のブライアンなんて、人生最後の輝きの時期だぞ。最晩年の『ロックンロール・サーカス』とか『ワン・プラス・ワン』なんて、惨めで惨めで惨めな姿しか映ってないんだから。しかし、そんな輝き(MCで輝いているかは不明だが、ヤツはぺシャリの才能はあった)もオミットされるくらいだから、やはりブライアンは哀れ。死んだ後もキースには「長く生きられないヤツもいるってことさ」、ミックには「ヤツは周囲の人間すべてを酷い目に合わせた」と死体蹴りされるほどの嫌われ者だから、本作でも嫌われたのだろうか。
 しかし、出演1秒なのにポスターよく見るとブライアン、いけしゃあしゃあと載ってるじゃねーか!どういうことだ!だが、このポスター、客の姿も載ってるんだよね。たぶんブライアンはお客様枠で載ったんだな😎


【偉大なるソウルシンガー、オーティス・レディング】
https://youtu.be/iJHD9SiI5YU?si=e1ydmVGx-pzDYtkV
愛しすぎて(I’ve Been Loving You Too Long)
 本作、モンタレーポップでの名演。上映バージョンだと歌詞の翻訳がついております。捨てられた男の未練たっぷりの歌なんだけど、オーティスが歌うと何故か崇高な歌になってしまう。これがストーンズならばキモいストーカー(しかもカラダ目当て)の歌になるだろうよ。まぁそれもジャガーのヤローっぽくていいんだけど。歌い手の力って大事です。

https://youtu.be/NuJTUpJzLOw?si=6sYiUVI4wYelPRXk
Try a Little Tenderness
 個人的にオーティスといえばこの曲。こちらもモンタレーポップから。本編ではカットされてますが、途中の客の映像は本編で使われております。3:10までは客映像。死してなお嫌われ続けるアイツも出てくるかと思いきや、出てこなかった、残念。

https://youtu.be/Qv_U26M4yyI?si=4z0S_Z3UPbBczV7J
Shake
 本編では後半のみ使用されたオーティスの代表的ジャンプナンバー。いや〜、とんでもなくカッコいいッッ!下半身のリズムの取り方がイカす。痺れるなぁ!
 ジャンプナンバーではストーンズのサティスファクションもカバーしてますが、個人的にはあまり良くない。下品でヘタクソなジャガーバージョンの方がこの曲が持つクソ感を表現できてるように思う。
 
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