Wakana

落第はしたけれどのWakanaのレビュー・感想・評価

落第はしたけれど(1930年製作の映画)
4.0
めっちゃおもしろい。
『大学は出たけれど』で大卒の求職者が会社のおっさんに軽くあしらわれて憤っていたけれど、じゃあその大学生活はどうだったか? 大学生のろくでもないトンチキなところをギャグセン強めに描くだけでなく、驚くべきことに、その後の小津作品で取り沙汰される残された人の哀愁を映すからすごい。

ずいぶん前、試験前に知らない人から「ノート売ってくれませんか」って取り引きを持ちかけられたことを思い出す。しかもわたしもノート取ってなくて(聞いた相手が悪かったよなあ)、仕方がないからタダで試験範囲を教えてあげた。でもイシグロ(課題図書)を読んでないとさっぱりわからない試験だったはずだから、結局彼は落第しちゃったかもしれない。
そういうろくでもなさへの愛すべきまなざしがある気がする。
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