チッコーネ

この心亡き者のチッコーネのレビュー・感想・評価

この心亡き者(2022年製作の映画)
3.7
台湾産でここまで作り込んだサイコホラーを観たのは、初めて。
国内に数多いというアジア系不法滞在者絡みの物語となっているが、舞台が大都市の台北であるため、エキゾチズムは希薄。
無国籍な雰囲気となっている。
前半はリンチ風のフラッシュバックや、行動・事象の後追い説明を多用。
中盤はトラウマを抱えるヒロインと、事件の鍵を握るオム・ファタールの関わりに注力しており、ドラマ要素が色濃い。
しかし終盤に用意された「猟奇殺人犯の異様な犯罪トロフィー披瀝場面」は、様相のガラリと異なる山場として機能。
気分が一新される。
目新しくはないが、ジャンル映画として全体がきっちりまとめられた佳作だった。