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ドラゴン騎士団のdm10foreverのレビュー・感想・評価

ドラゴン騎士団(2023年製作の映画)
3.8
【精霊】

子供の頃からサッカーが大好きだったお陰で得をしたことがあります。
とにかく大好きな選手やチームの事を調べまくっているうちに、世界の国々の国名や国旗の柄、大体の地理などが自然と頭に入ってきたんですね。
もし、もう一人の「勉強嫌いのdm」だけの生き方をしていたら、きっとイタリアとハンガリーの国旗の違いなんてわからなかっただろうし、「マルタ共和国」や「サンマリノ共和国」なんて名前も知ることはなかったと思う。

そんな中、各国の「国旗」のデザインに興味を持ったdm少年。
日の丸弁当よろしく、いかにもシンプルな日本の国旗も、実は一周回って結構クールでカッコいいってのは後々大きくなってから思うようになったんだけど、小さい頃はやっぱり「カッコいい」「強そう」って感じの国旗に目がいってた。

それこそスペインやポルトガルのように紋章(国章)が描かれた国旗には歴史の重みを感じるし、ウルグアイやアルゼンチンのように国旗に太陽の絵が描かれていれば明るく陽気なイメージが湧いてきて、不思議とその国のイメージ自体も明るく感じてみたりもする(実際の両国は結構ダーティだったりもするけど・・)。

そんな感じで見てきた中で一番気になっていたのがウェールズなんですよね。
白×緑のツートンの下地の上に真っ赤なドラゴンがデ~ン!と描かれているという、シンプルかつ大胆なデザイン。

(どうして架空のドラゴンなんかを国旗に描いたんだろう?)

もちろんこれを描くに至った歴史的経緯っていうものもキチンとあって、それこそ『古代ローマ帝国』だの『ゲルマン民族』だのも深く関わってくるような歴史好きな人からすればロマンに満ち満ちた由来もあるそうですが、そんなことを知る由もないdm少年は、ただただこの国旗のデザインを見て「かっけ~!」となるわけです(笑)

で、今作はそんなウェールズを舞台にドラゴンが現れるという短編。

新居に引っ越してきた親子が夜な夜な寝室に現れる「何か」を恐れ、YellowPage(ウェールズにもYellowPageがあるんだ!という小さな驚き)で「駆除業者」を探して見つけたのが【ゲルハルト・オノフリード】という怪しげな業者。
早速依頼してみると、あまりヤル気のなさそうなジョアンという見習の女の子と、バークという調子のいい初老の男性の二人組。
かくして、彼らとともに家の中に潜む「何か」の正体を探っていくと・・・・っていうお話。

この家に住むレベッカちゃんは、ちょっぴり他の子とは変わった感性の持ち主で、色んな事を突き詰めて考えるのが得意。
「ASTRONOMER(天文学者)」という言葉も、その並び方を変えて「MOON STARER(月を見つめる人)」って別の言葉に変えて皮肉ってみたり(いわゆるアナグラムってやつ)。
ちなみに別の並べ方をすれば「NO MORE STAR(星はもうたくさん)」ともなる・・・。

そんなレベッカが気付く【ゲルハルト・オノフリード】の本当の正体。

まさに彼女の得意とするアナグラムで彼らの名称を並び変えて浮かび上がってきた文字こそ【ドラゴン騎士団】だった。

世の中には目に見えているようで、実はまだまだ気が付いていないものも沢山あるのかもしれない。
もしかしたらドラゴンだって火を噴きながら僕の家の近くを飛んでいるのかも・・・。

現実の中にある「実しやかなもの」って、案外こういう子供の純粋な探求心であっさり突き止められちゃったりするものなのかもしれないね。

そうか・・・
ウェールズにドラゴンがいるのなら、日本にも龍や麒麟だっているかもしれない。
見える人にだけは見えているっていう世界で・・・。
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