社会のダストダス

正しいアイコラの作り方の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

正しいアイコラの作り方(2024年製作の映画)
3.5
「先輩の…インキンタムシー!!」

高石あかりちゃんにそう呼んでもらえるなら、インキンタムシも悪くねえな。

上映館は現状たったの1館。こういう時、東京さ住んでて得したと思うだ。まあ、推しの高石あかりちゃんが出ているのであればたとえ火の中水の中、東京でも南極でも、インキンタムシになろうがトコジラミに喰われようが這ってでも観に行きますが。

河原に落ちているエロ本を拾うために深夜徘徊していた富岳三郎は、その帰りに幼馴染のローカルアイドル谷川あさひを見かける。翌朝のニュースであさひを見かけた場所で死体が発見されると、彼女は三郎の家にやって来て「黙っててくれるならエッチしてあげる」と口止めを迫ってくるのであった。そう来られたら墓場まで秘密を持っていくしかないだろう。

エロ本を捜すなどという目的のために深夜の河原を徘徊できるくらい我々は治安の良い国に住んでいる。そもそもスマホやパソコンを使ってネットで幾らでもエロいコンテンツを探せるこの時代に、不審者の疑いを掛けられるリスクを冒してまで深夜に河原で探すという行為には、むしろ大和魂を感じる。これが令和の男子高校生か。

主人公三郎君のモノローグが全編を通してかなり多い。早口で結構ブツブツしゃべるので、慣れるまで少ししんどかった。モノローグが多いこと自体は問題ないけど、会話に被さっててどっちも聴き取りづらいという場面が何か所かあったのは気になった。

お隣の幼馴染であるあさひとは何年もろくに会話していないため、いきなり部屋に押しかけられた時のキョドりかたには、非モテ男子としての共感性羞恥心を刺激されたが、三郎君は顔がそこそこ良くて、友人にはさらに非モテムーブをかますメガネ君がいて、さらに生徒会に入ってからは周りが女子ばかりというハーレム状態になるので、だんだんと仲間意識から敵愾心に変わっていった。

そしてメインディッシュの高石あかりちゃんですよ、セカンドヒロイン(ある意味メイン)の劒鈴役。高石あかりちゃんが見たくて観たようなものなのに、登場してから気づくまで3秒くらいかかった。なかなかの衝撃ヴィジュアルだったけど、これはこれで…とも思えてきちゃったから、素材が優勝している!すき。

あかりちゃんはその後ノーマルフォルムになるけど、「先輩!センパーイ!!セェェェンパァァァイィィィ!!!」て寄ってくる姿かわいすぎる。キャストで他にあまり知ってる人がいなかっただけに、本作はあかりちゃん無双だった。特にタクシー乗るシーンは、かなり長いカットの中で、泣いたり笑ったり慰めてきたりと色々凄かった。

土下座して「劔と別れてください!」と懇願してくるマネージャーさんに妙なシンパシーを感じていたものの、その理由が分かったときはなんかつらかった。

ジャンルとしては青春・コメディ・ミステリーのようだけど、前後左右の席からあかりちゃんの挙動に合わせて、「ふふ…」「ぐふふ…」「デュフフ…」などの声が聞こえてきて少し怖かったので、私の観た回だけはホラーだったかもしれません。