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トラペジウムのアイビーアイのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.1
チグハグな映画でした。目的のためなら手段は選ばないとかを超えてシンプルに性格が悪い女の子の物語と、タイトルのトラペジウム、不等辺四辺形の物語の2軸が分離してしまっています。

2軸のどちらかに寄せて最後まで行けば良かったと思うのですが、というかラスト10分くらいの仕上がり的に「見る先も進む方向も違ったけど一緒だった不等辺四辺形な私達」に寄せるべきだと思いますが、そうじゃない前半から中盤もトラペジウムと絡めようとはしてるから「性根が腐ってる女の子が主人公の斬新なアイドルもの」としては描いてなくて、でも性根は腐ってるので、端的に言って上手くいって無いです。

実はアイドルものでは無いので、ポップによく動くような、アニメーションとしての目から入る快感が少ない作品で、であれば演技のアンサンブルで引っ張って欲しいのですが、場面がすぐ次に進むことでひとつひとつの会話が短くて会話を楽しめるタイプの作品では無かったのも大変キツかったです。

黒縁メガネで線が細くて女の子と話すとオドオドする高校生とか、とりあえずダンディな服装とヒゲでタバコくゆらせてるマスターが居るけど灰皿置いてない喫茶店とか、OPアニメは有るけどクレジットのフォント適当とか、令和にもなってそういうことするとちゃんと考えないで作ってるのバレますよ。

劇中唯一の歌唱シーンは前後の描写と完全に切れてて頭を抱えそうになりましたが、手描きとCGがシームレスに移行するのは凄かったかもしれない。

1点絶対に許せないことがあって、老人男性3人組のうち、セリフの少ない2人に若い女性が声を当てています。エンドクレジット見たら西野七瀬と原作者だったようで。セリフの少ない老人2人ならファンサービスで使っていいと思ったんでしょう。それで観客の没入を削いでも良いと思ったんでしょう。その程度の志で作られた映画でした。

あと東西南北から集めようとした理由を誰か教えてくれ。自分の名前に東がついてるからか?それだけか?もうちょっと考えて作ってくれよ。
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