ブサ猫太郎

トラペジウムのブサ猫太郎のレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.4
アイドルを目指す女子高生・東ゆうが密かに考えたアイドルプロジェクト。それは東西南北の名を冠する高校からメンバーを集め、4人グループを作ること。計画は順調に進み、東はついにアイドルデビューを果たすことに。しかし、元々アイドルを目指していなかったメンバーたちは次第に心が離れ、解散してしまう。1人突き進んできた東の夢はここで終わってしまうのか?!

アイドルを夢みる東ゆうはメンバーを集めデビューしたものの、独断専行でメンバーを傷つけてしまい、解散の危機を迎えてしまう…

元乃木坂46の高山一実さん原作の『トラペジウム』。元アイドルがアイドルを目指す少女の物語を書いているということで興味本位で鑑賞。想像以上に面白く、キャラクターの描き方が良かった。

東西南北(仮)のメンバーたちが徐々にアイドルとしてついていけなくなり、西ちゃんが崩壊したシーンは特に印象的。一気に注目されたことで良くも悪くも戸惑いを隠せないメンバーの焦燥やずっと夢みたアイドルにしがみつく東ちゃんの狂気などマイナス感情への振れ幅が凄い。もっとほんわかとした作品かと思っていただけに、高山一実さんがここまで迫った作品を描けることに驚いた。

そして、ついに解散してしまった東西南北(仮)。それまで自分の夢のために皆を振り回してきた東ちゃん。1度全てを失ったからこそ自分を見つめ直し、新たな気持ちで再出発。往生際が悪いから夢を諦められないというセリフは、自分も共感できるものが…何度落ちても諦めずに追い続ける。少し過程が強引で誤っていたとしても東ちゃんの姿勢と行動力は自分も見習いたいと思った。