アーモンドフィッシュ

悪魔のシスター デジタルリマスター版のアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

3.8
最近、私が見つけた小さな楽しみは、旅行先でミニシアターを訪れ、珠玉の映画を観ることです。この趣味が私を導いたのは、鹿児島にある「天文館シネマパラダイス」。ミニシアターとは言えないかもしれませんが、その日私は劇場で唯一の観客でした。これが人生で二度目の経験です。

観た映画は、ブライアン・デ・パルマ監督の「悪魔のシスター」。物語は、モデル兼駆け出し女優のダニエル(マーゴット・キダー)が、テレビ番組で知り合ったフィリップという黒人青年と一夜を共にするが、翌朝彼が殺されてしまうところから始まります。この凄惨な現場を向かいのアパートから目撃した新聞記者のグレース(ジェニファー・ソルト)は、警察を呼びますが、死体が消えてしまい、彼女の言葉は信じられません。グレースは真実を暴くために探偵を雇いますが、その過程で予想外の真実が明らかになります。

デ・パルマの長編映画デビュー作であるこの映画には、彼の特徴的なスタイルがすでに見て取れます。"監督の処女作にはその作家の全てが詰まっている"と言われますが、「悪魔のシスター」はその言葉を体現しているかのよう。特に、デ・パルマ特有の窓からの覗き見シーンは、彼の映画における一貫したテーマを示しています。さらに、音楽は「サイコ」で知られるバーナード・ハーマンが担当しており、その独特な音楽は映画の雰囲気を一層高めています。

この作品を観て、"さすがデ・パルマ"と感じざるを得ませんでした。彼の手腕が生み出すサスペンスと心理的な恐怖は、今もなお色褪せることがありません。