KnightsofOdessa

Love Lies Bleeding(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Love Lies Bleeding(原題)(2024年製作の映画)
3.5
[セックスとドラッグと筋肉と] 70点

ローズ・グラス長編二作目。1989年、ジムのマネージャーであるルーは、ボディビル大会を目指してニューメキシコを通りかかった放浪者ジャッキーと出会い恋に落ちる。彼女は自身の後ろ暗い過去と最低な男家族に悩まされており、その根源たる有害男性性を内面化していた。彼女の父親は郊外の砂漠で射撃場を経営しつつ、メキシコへの武器密輸で財を成しており、FBIにも目をつけられていたのだ。ルーは生身での勝負に拘るジャッキーにステロイドを勧め、彼女が薬物中毒になっていくのは、本作品のボディホラー的な側面を支え、『TITANE』においてステロイドによって家父長としての尊厳を支えていた父親を想起させる。銃や薬物(ステロイドも煙草も)といった男性的なものに染まっていた、或いは染められた二人が、それらを一緒に跳ね除ける作品だった。また、二人が初めて得た愛の喜びをある意味で大袈裟に演出することで、世界の醜さや二人の弱さなどを浮き彫りにしていくのも非常に良かった。個人的にはゲロ吐いた次の瞬間に血が横から飛んでくるシーンが好き。
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