瓶底

ザ・キッチンの瓶底のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・キッチン(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

俳優ダニエル・カルーヤファンとして、初共同監督作品をチェック。

貧富の差が極限まで広がった近未来のロンドンが舞台。なので映像にはSF感があるが、決してファンタジーではない。むしろスゲー現実的で、冷静な脚本やなと思った。
SFアクションを期待した人はガッカリするかもしれん。けど俺は思ってもみなかった部分で満足させられた。

団地の窓から危険を知らせる為に皆が鍋をカンカン鳴らす光景が印象的やった。反対側の発展した開発地に向けてたいまつ?を掲げるのも。お葬式でゴスペルを歌ったり。人々の"連帯"を強く描いていた。
クラブで踊ったりスケートしたり、BMXやバイクを走らせたり、床屋で髪型を悩んだり、人間がそこにいるだけで消えることの無い"文化"にワクワクした。

イジーが戦ったりしていくんか?と思ったけど、あからさまなアクションはなく。親子の話やった。ベンジーを見て笑ったり悩んだりを微妙な表情で静かに演じるケイン・ロビンソン。「果たして自分は子に相応しい人間なのか(いや相応しくない)」とでもいうような葛藤がずっと見られて、ムッチャ良かった。ラストシーンの二人のやり取りも印象深い。

抑圧されるコミュニティ内で人々が手を取り合い"連帯"していく姿、ほんで彼らの生活を支え彩る"文化"というものは、どんな時代でも変わらず人間の"希望"なんやと。
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