千年女優

スリー・キングスの千年女優のレビュー・感想・評価

スリー・キングス(1999年製作の映画)
4.5
クウェート侵攻を仕掛けたイラクへの制裁として開戦した湾岸戦争が終結し、残党を取り締まるだけの緊張感のない日々を過ごすアメリカ軍。捕虜から取り上げた地図を頼りに一攫千金を目指して単独行動を取るゲイツ少佐率いる三人の兵士が、私利私欲の旅路の中で終戦してもなお命を脅かされる市民たちと出くわす様を描いた戦争映画です。

インディペンデントから順調にステップアップしたデヴィッド・O・ラッセルが初めてビッグバジェットを手に制作した1999年公開の作品で、湾岸戦争反対の立場から書き上げた皮肉のこもった物語が評価されて一億ドル超の興行収入を記録。ジョージ・クルーニーを始めとする豪華キャストを盛り立てたことが後のキャリアの礎となりました。

コメディテイストで痛烈に湾岸戦争を皮肉る一作で、機知に富んだ脚本で他の戦争にも通じるアメリカ軍の姿勢を「どんな大層なお題目を掲げた所で子供の目の前の母親も守れないんでしょ、おたくら」と嘲ります。そんな中では現地の兵士も私利私欲に走ると言いつつ最後には弱者を救うという唯一にして最大の大義に行き着いてる一作です。
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