脳内金魚

RHEINGOLD ラインゴールドの脳内金魚のネタバレレビュー・内容・結末

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

予告編からは想像しなかったハードモードな始まりに、少し面食らってしまった。

主人公ジワ(カター)の自伝映画と言うことだが、予告編であったような「ラッパーとして成功」した箇所は全体に占める割合は少しで、ほとんどがジワの愚行録と言う感じ。
冒頭こそ「あ〜痛い痛い」と言う箇所はあれど、全編を通してコミカルに描かれる。そのため、内容が内容だけに「笑っていいのかな?」と思いつつも、クスッと思わず笑ってしまうシーンが多々あり、重たくなりすぎず、この手の移民系映画のなかでは比較的見やすいかと。内容はジワの愚行録なのだけれど、意外に彼が正攻法で行くのもと言うか、愚直なところも敷居を低くしてる点かと。ひょろっこくてやられたからボクシング(というか、実践型の喧嘩の仕方)を習ったり、たまたま聴いたラップが気に入り、作曲者に会いに行ったり、音楽で食べていきたいから音大通ったり、ドラッグをダメにしたから別口でお金工面して、それをバカ正直に告げたり。なんというか、憎めないなぁこいつと思いながら見ていた。結局、悪事に手を染めた切っ掛けも、離婚して苦労している母のためだし。もちろん、やり方は誉められないが。
そんなジワの「こいつ、なんだか憎めないし放っておけない」ところが、彼の人間魅力で、だからサミーやミランも見捨てないんだろうなと思った。ミランなんて、子供の頃ご飯代わりに食べてあげただけよ!?(たぶん、ジワとしては単にお腹いっぱい食べたかったというのが本音だろうし)金塊強奪事件で収監されたときも、父への反発はあれど、父や妹の苦境を知りきちんと立ち直ろうとするし、後に産まれた娘に過去のことを聞かれても、誤魔化さずきちんと答えている。生来的には、純粋で誠実な人物なんだろうなと思った。

個人的にはパンフの「ボコる」って表現がウケた。うん、この映画の雰囲気を正しく掴んでるよね。
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