ラッパーであるカターの自伝的映画。
戦時下に生を受け、西側への亡命、少年〜青年期の犯罪行為、刑務所での音楽活動を経て、成功を得るまでの過程が描かれる。
「日本に生まれたらそれだけで幸せ」みたいな話があるが、爆撃の最中の出産シーンとか、苛烈な拷問シーンとか見せられると、あながち嘘じゃないなと思わされた(本作の描写がどこまで事実かは不明だが)。
カターが数々の悪事に手を染める背景は(共感できるところはないものの)丁寧に描かれている。
一方で、なぜ音楽に惹かれるのか背景が十分に見えないし、成功までの描写も薄くてアンバランスな感じ。
さらに言うと、苦労の制作活動の末、自身のCDを手にしてからの、ラインゴールドの題名がバーンと映し出される演出もちょっと安直な印象。
そして最後のファンタジー的な表現には失笑。
(注: 韻踏んでます)
前半の戦闘シーンをはじめとした映像は迫力もあり見応えもあったけれど、140分もあるのになんだか薄っぺらい感じを受けてしまった。