くさむすび

水深ゼロメートルからのくさむすびのレビュー・感想・評価

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.7
好きな所もあったけど、あんまりだった点もあったので評価に困る。
まず設定が素晴らしい。男子野球部の影響でプールに入った砂を、体育の補習として女子たちが掃除をする設定。男性たちの無自覚な行動(降ってくる砂)によって、女性たちが生き辛さ(掃除をやらされる)を抱えているという現実社会の縮図のように見て取れて、冒頭から引き込まれた。そこから阿波踊りの男踊りや、とある行動を受けてのミクの「女捨ててんじゃんw」と言ったフレーズなど、女子高生が身近な話題を通じてさりげなくジェンダーについての会話を繰り広げる辺りは鋭利さもあったりして良かった。
一方で微妙な所としては、今作一番の盛り上がりになるだろうと予想された場面がイマイチ盛り上がらず、弱火のまま有耶無耶に進んでいくのが残念で、「え?これで終わりなの?」となってしまった。関係性の変化もリアリティを感じられない。でも終盤のチヅルのとある行動には感動して、あのシーンだけでも今作を見た価値があったなと感じさせるほど。
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