ノラネコの呑んで観るシネマ

水深ゼロメートルからのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
4.0
高校演劇大会の受賞作の映画化。
真夏の徳島の高校の干上がったプールに、二年生のミクとココロがやってくる。
二人は体育の補習として、底に溜まった砂の掃除を教師から指示される。
プールには水泳部のチズルと先輩のユイも現れ、だらだらとした時が過ぎてゆく。
阿波踊りで男踊りを踊りたいミク、メイクしないと我慢できないココロ、野球部の男子に水泳で負けたのがショックのチズル、チズルに水泳をやめてほしくないユイ。
少女たちの会話劇から見えてくるのは、大人の体になってゆく思春期に、女の子であることを巡る戸惑いと葛藤。
メイク命で男に愛されるカワイイを突き詰めるココロと、彼女のようには女らしさを割り切れないミク、女子選手の成長の限界に苦悩するチヅル。
三者三様の悩みを抱えた彼女らは、水の無いプールで感情をぶつけ合いながら、お互いを知り、少しだけ成長してゆく。
原作・脚本の中田夢花は、演劇部員として在学中にこの作品を書いたそうで、10代のリアルな感情が垣間見られる瑞々し良作だと思う。
ただ中盤は話がやや停滞気味で、映画としてはもう一つ工夫が欲しい。
野球部のマネージャーや先生は、もうちょっと生かせたのでは。
キャストの多くは商業演劇として上演された舞台からの再演で、皆それぞれ等身大のキャラクターを好演しているのだが、とりあえず皆んな掃き掃除が下手すぎるw