ツクヨミ

水深ゼロメートルからのツクヨミのレビュー・感想・評価

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.9
思春期の中で燻っている感情を抱えたJKたちの停滞会話劇。
予告編にてフレッシュなのにダルそうな青春の匂いにつられて見に行ってみた。
まず本作は夏休みに補習のためプール掃除させられるハメになったJK二人を軸にしたワンシチュエーション会話劇になっており、気だるげで停滞した時間を過ごす感覚がリアルでなかなか良い。いわゆる青春キラキラものとは真逆のグダッた会話劇なんだがそういう後ろめたいやつらの話ってけっこういいよね。
また補習兼雑用を被る二人に追加して徐々にまた二人追加され、変な会話を繰り広げていく中で燻った感情を互いにぶつけていくエモーショナルさよ。阿波踊りで女なのに男踊りをさせられるやるせなさ.恋心と負けたくないスポーツマン精神で揺れる純粋さ.生理なのにプール授業を受けさせられた苛立ちを抱えつつ女と男などの社会基盤に違を唱えるなどなど複雑な心持ちを徐々に見せていく彼女たちに共感してしまう素晴らしさ。原案である高校生舞台と共に脚本も担当した当時JKだった中田夢花さんのフレッシュでやさぐれてそうな才能が良い味出してる。
あとメインとなるJKだけではなく、先生としてしっかり指導したいけどいろいろ抱えている体育教師の燻りも感じさせる展開もまた良い。そして水泳部の先輩も巻き込みつつ"ここから始まる"を予感させるラストの雨がすげぇキリッとしてて幕引きがキレイ。燻りの象徴たる砂が雨で洗い流されまっさらになる爽快感すら覚えるラストショット、いやぁいい青春燻り映画でよかったなぁ。
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