劇場2024-39 UC熊
高校演劇からまたも傑作が!
『アルプススタンドのはしの方』が好きな人は絶対好きに違いない。
(ちなみに私は『アルプススタンドの〜』は一昨年の邦画ベスト1としております)
元々の演劇戯曲を21年に映像化。
YouTubeで今も観ることができるが、あらためて長編化したものが本作とのこと。
いや〜これも舞台で観てみたかった。想像力がかき立てられる。
評判を聞いてYouTube版を半分観てから鑑賞。(おそらくだが)YouTube版は50mプール、本作は25mプールが主な舞台。50mプールだと出演者の相対的な大きさが小さくなり、より舞台的な効果があるが、25mプールには映画的な効果がより活かせるようだ!
ストーリーは、、、
補修の名目で、野球部が練習で巻き起こす砂が溜まりまくるプールの清掃を命じられた2人の「女子」生徒と、その友達の水泳部部長、そして水泳部「元」部長と、補修を命じた山下教諭の5人が主な出演者。
水の無い、砂だらけのプールで繰り広げられる会話劇。しかもオジさんには少々辛いガールズトーク。
しかし、このガールズトークの中身が何とも苦しい、苦い、ある意味痛々しい。
男である、しかもいい歳のおっさんからすると分かりづらくもあり、しかしその苦しさがひしひしと伝わってくる。
阿波踊りの男踊りと女踊りの件
女の為の踊りを踊ればいいのに、とか
ずっと男踊り踊ってきたから、、、という
その気持ちとか、、、
メイクの話もそう、
どうせ女は社会に出たらメイクしなくちゃならないんやから、、、とか
メイクが落ちたら自分じゃなくなるとか、、、
水泳の授業の日、水着の話とか、女の子の日の話とか、、、
クスノキとの戦い、男女の性差
女子の間でも一軍とか、二軍とか、、、も
野球部「女子」マネの問題、野球部とその砂が意味するものとは、、、
また、役割というものに性差があり、それを受け容れているのか、自発なのか?
先輩・後輩間の問題
実力とやる気、、、これは性差じゃないね。
いゃ〜苦しくて苦しくて身悶えしながら鑑賞してしまいました。
また、山本先生の葛藤も本作ならではのパート。この視点が入ったことによって作品に厚みが増したと考える。教室でもの想いに耽るシーン。(あの季節あんな日当たりのいいところに座るか?と言う問題は置いといて)
しゃがみ込みタバコを燻らすシーン、こころと感情をぶつけあうシーン。それぞれが映画的な重層要素。
そして、本作。
私が凄いなぁと思ったのは
①水の無いプールのデッキ部分とプール底
②プールと、フェンスで隔てたグラウンド
③更衣室とプールデッキ
を出演者が出たり入ったり、入れ違う。
また、グラウンドを眺めたり、ボールが飛んできたり、人や物が交差することにより、話が展開されていて、そして厚みを増していること。
まさに「青春交差点」とでも言える演出!
ここは本当に映画的な演出。舞台だと上手、下手での交差が一般的だが、映画ならではのカメラワークと場面切りを駆使した監督の手腕を感じる。
いゃ〜ダメなんだよね、こう言う青春小説のホンの1ページを思いっきりクローズアップし、行間に詰め込まれた情報量を観る側にぶつけてくる作品には弱いんだよね、、、
ラストのカット含めて極めて映画的である傑作!
女子高生、イケてる子は夏でも長袖シャツ着て腕まくりしてる説、あるある(^^)
大昔から変わってないね!