Blake1757

水深ゼロメートルからのBlake1757のレビュー・感想・評価

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.0
高校演劇つながりで『アルプススタンドのはしの方』、監督つながりで『リンダ リンダ リンダ』と関連させたレビューが目に入っていて、そして予告編がとても繊細で力のある映像だったことで、少し期待値を上げすぎたかもしれない。鑑賞後は、正直に言えば、少し物足りなさが残った。
夏休みの炎天下、水のないプールの掃除、それぞれに屈託を抱える女子高生たち。舞台設定は、これ以上ないほど期待値を高めてくれた。
ではあるのだが、ここで進む会話劇に物足りなさを感じてしまったのは、僕が「女子高生」でも「女性」でもなく、作品のテーマでもあろう女性性の問題やジェンダーの問題に、(頭では分かっても)どうしても実感が持てないからなのかもしれない。(そういえば、この作品には「男性」は一人も登場しない。二重の意味で“加害”側である野球部員が画面に映されはするが。)
唯一登場する大人である女性教師は、『台風クラブ』の中学教師(三浦友和)を連想させてくれ、とても印象的だった。1本のシナリオにまとめる難易度は上がりそうだが、彼女の物語をサブプロットにした別バージョンのフィルムも観てみたい気がした。
また、一つ気になったのは、音響に関して。舞台演劇を意識したという事なのか、セリフが前に出過ぎで、加えてややリバーブがかかったように聞こえ、ひょっとしたら僕が観た劇場の設備のせいなのかもしれないが、仮に意図的なものだとしたら、映画としては逆効果だった気はする。
あと、まったく関係ないのだが、「プールの底」+「高校生」のつながりから、『バタアシ金魚』をまた見たくなった。
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