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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争のkのレビュー・感想・評価

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canonの文字が浮かぶ白い地(写真の裏面?)に写真や本の切り抜きのようなものが載せられて、右上に番号がふられた画面が番号順に紙芝居のように切り替わっていく。まずそのテキトーなのかなんなのかよく分からないスタイルにヤられる。無音がずっと続くのかと思いきや、突然凄い音楽が流れ始める。それでも画面は静止画のまま。画面が動かないというだけでここまで動揺することがあるだろうか。いや、無い。これがゴダールの新境地か、と。これまで何度も観てきたイメージの断片が切り刻まれ、コラージュされ、その上に赤と黒の絵の具で線が引かれていたりするシークエンスの最中に突如として、今までゴダールの映画で一度も見たことがない美しい女の写真が2枚、左右に配置される形で提示される。こうしてゴダールの映画で、ゴダールの映画にまつわる記憶を遡っても見いだせないようなものが突然提示されると、何か凄いものを見てしまったかのように目に焼きつけられる。
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