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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争のmayのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

誰もがスマホで動画をとって、スマホで動画編集をして、監督になれてしまう時代に、ゴダールは「映画」を破壊しようとしたのかもしれない。

コラージュされた文字や写真や絵。断片的で暴力的に音が大きい音楽。時折挿入される人間の声。
動画の最大の特徴である、「動きを表現できること」を放棄するかのように、静止画が多用される。

わたしにはもうこれが「映画」と言えるのかわからない。それと同時に、もう「映画」そのものがわからない。筋の面白さ、絵としての美しさ、芸術性?そもそも映画の定義とは?映画はどのように評価されるべき?そして、そんな理由でこの映画のスコアはつけられない。

ゴダールにとって映画とは、戦争と同じように、終わりの見えない戦いだったのかもしれない。それでも、最後に自身の最高傑作と言って、この映画を遺して自死した。彼と映画との戦いですら、終わりを迎えるのだ。戦争だって、ゴダールが遺した遺言「和解の場所が見たかった」と同じように、終えることができるはずだ。映画を破壊し尽くした先には彼のひとつの「祈り」があった。
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